2006年12月16日 / 最終更新日 : 2006年12月16日 times せとうち花壇 尾道のローソクアートのお花畑おんな三人見とれていたり 三島美知子 平成17年の10月1日(土)に開催されたJR尾道駅前緑地帯の「灯まつり」に参加した時の歌である。
2006年12月16日 / 最終更新日 : 2006年12月16日 times せとうち花壇 時差のまま想い出とする腕時計ねむらせておく抽出しの中 小林美津子 時差ということは、ヨーロッパかアメリカかの海外旅行をした時の、時差に合わせた腕時計の針をそのまま元に戻さずに、大切に抽出しに納めて「私の宝物よ、海外旅行の記念品よ」といかにも意外性のある想い出の品である。
2006年12月2日 / 最終更新日 : 2006年12月2日 times せとうち花壇 一本の石蕗(ツワブキ)の花にぞ見とれたり年を重ねてわかることあり 大庭美代子 晩秋のころ、黄色なツワブキの花が庭石の根っこにすっくと立っている。作者はこの花を呆と見ているのであろうか、よく「こころ其処にあらず」という言葉を聞くことがあるが、実際に本人はこの花を見ているのである。
2006年12月2日 / 最終更新日 : 2006年12月2日 times せとうち花壇 友に会い学生時代に逆戻り体型変われど変わらぬ声に 井川美千子 一読して納得する短歌である。はてさてこの歌の作者の方の体型はいかがと言いたいところであるが、あい均衡(きんこう)していると思えばよい。何十年振り町中でばったり出会った、頭の上から足先まで観察をした故でもない […]
2006年11月18日 / 最終更新日 : 2006年11月18日 times せとうち花壇 バスルーム、トイレ、キッチン、ベッドの視点それぞれ異なる海も小島も 矢野 五月 この歌を詠みながら、作者はなんと風光明媚な場所に住んでいるのでしょうと感嘆の声を上げていることだろう。瀬戸内の島に一望の海や小島の見える。日本の家はみな四角で長いか短いか、凹凸があるかの違いがあるかの変化で […]
2006年11月4日 / 最終更新日 : 2006年11月4日 times せとうち花壇 ガ島より夫に背負われ帰還せし戦友は墓前に長く動かず 大畑すみえ 作者は尾道市向島町に在住である。いまは亡き夫君は、かつての太平洋戦争中に南太平洋・ソロモン諸島の一孤島のガダルカナル島において、連合軍と死闘を体験した数少ない帰還兵の一人である。その故人の墓前に、戦後数十年 […]
2006年10月21日 / 最終更新日 : 2006年10月21日 times せとうち花壇 漢(おとこ)二千七百漬くなかりせば戦艦大和は美しきもの 山崎 勝代 初句は男であってもよいところを、わざわざ難しく漢という文字を使って「おとこ」と読ませてある。ここのねらいは、この場合の男子は普通の男とは違うのだよ、と語気を強めて述べ、戦艦大和と共に特攻兵となって戦場に赴い […]
2006年10月7日 / 最終更新日 : 2015年6月6日 times せとうち花壇 砂文字短歌大会 平成18年大会 前広島歌人協会副会長・高野和子さん講演 因島、瀬戸田、弓削、生名、向島などの短歌愛好家が集う砂文字短歌会(池田友幸代表)の平成18年大会が9月30日、因島日立会館で開かれ約30人が参加した。 午前には、前広島歌人協会副会長であり、歌誌「白炎」同人の高野和子さん […]
2006年10月7日 / 最終更新日 : 2006年10月7日 times せとうち花壇 われの住むこの道筋を尋ねしか、「林芙美子」の初恋なりき 村上 艶子 平成14年に刊行された自歌集「砂浜」に収録されてある一首である。住所は因島田熊町である。歌の意味は放浪の人「林芙美子」さんが初恋の人を尋ねて因島に来た日も、この私の住んでいる家の前を通られたことだろう、と「 […]
2006年1月1日 / 最終更新日 : 2021年1月4日 times せとうち花壇 しめ縄に 稲穂啄む雀ごの 三羽もおればいかにか愉し 元旦とはまことにめでたく、会う人ごとに挨拶を交しあう。カラスが鳴いても雀が飛んでいてもみんなおめでたい。人のこころはそれぞれの受けとり方で不幸とも幸せとも見えるのである。この雀を題材に歌ってはあるが新春早々の祝(ほ)ぎ歌 […]
2005年10月15日 / 最終更新日 : 2017年5月30日 times せとうち花壇 難読の地名と言われる御調(みつぎ)郡消える日近づく尾道に合併 小林美津子 一読して解り易い歌である。日ごろから手紙や自己申告に類する物に必ず書いていた文字、それにいつも振り仮名でも付けようかと思えるような、御調(みつぎ)という地名。小学校の時からずっと書きつづけて来たのである。もう […]
2005年8月20日 / 最終更新日 : 2015年4月16日 times せとうち花壇 断崖から身を投じたる沖縄の主婦の映像ひえびえと見る 片山 哲子 今年で戦後六十年を迎える。八月十五日の正午に聞いた昭和天皇の声(玉音放送)に、一億の日本国民みんな沈痛な思い、またそれ以上の悲しみに沈んだ一日であった。 右の歌は、この日より二ヶ月前の映像を歌ったものであ […]
2005年3月5日 / 最終更新日 : 2016年6月17日 times せとうち花壇 この島に水軍の末裔偲ばれて村上の姓の人の多さよ この島に水軍の末裔偲ばれて村上の姓の人の多さよ 土居 瑠子 水軍と言えば、村上水軍といわれるほどに、その呼び名は有名である。特に因島出身の者にとっては、その言い伝えがどうであれ、一寸した誇りにさえ思う人も少なくない。歴史 […]
2004年10月30日 / 最終更新日 : 2018年2月12日 times せとうち花壇 上原謙の写真身につけ似ていると言わせたき老このごろ見えず 矢野 五月 「わしは若い頃は映画俳優の上原謙に似ていると言われたもんだよ」、と自慢していた老人がこの頃顔を見せなくなったのでちょっと心配になったと言う歌である。上原謙に似ているのであれば、顔に自信のある人かそれとも、お追 […]
2004年5月15日 / 最終更新日 : 2017年4月23日 times せとうち花壇 サクラ咲く時よりも尚うれしくてミカンの花の香二人占めする 藤原野栖枝 花と言えばサクラと言われるほどに日本人の理想の花である。春とは言っても肌寒い四月のはじめにぱっと咲いてぱっと散るその潔(いさぎよ)い散華のさまにどんな花も比べようもない日本人の心である。 抄出は、サクラの花ど […]
2003年12月20日 / 最終更新日 : 2018年4月27日 times せとうち花壇 いまだ見ぬ 大将軍町とはどんな町 友住む地名を番号簿に探す いまだ見ぬ 大将軍町とはどんな町 友住む地名を番号簿に探す 若住瑞枝 隣りの国では国民に「将軍様」と呼ばせているようだが、この町の名前はその上にもう一つ大という字が被せてある「大将軍町」である。 一度聞いただけで決して忘 […]