故郷への手紙【11】石の島(1)

石の島(1)

「新島」という東京の島へ行った。
船で行くその島は、伊豆七島の3番目の島。

22時、東京竹芝桟橋を出発。
大きな旅客船に乗り込む。
レインボーブリッジや横浜のキラキラした景色を過ぎると、真っ暗な海の中に漂い始める。
灯りが消え、空と海は境界をなくす。
ただただ船のエンジン音が、真夜中の海に流れるだけ。
寒いけど落ち着く夜だった。

翌朝8時過ぎ、新島の海と山がお出迎え。
静かな朝だった。
港の観光案内所で情報を得た。
さぁ、どこへ行こう。
とりあえず、海だ。
砂浜へ行って考えよう。

目の前の海は青くて穏やかだった。
足元の砂は透明でガラスのようだった。
軽くてサラサラした感触。
すごくきれいだった。
石の色や模様が惑星のような姿をしていた。
宇宙の一部を見ているような心地。
誰もいない砂浜、風の音が絶え間ない。
海にいると時間を忘れる。
吸い込まれそうな朝だった。

(青木恵)

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