碁聖・本因坊秀策偉人伝 郷土因島出身の天才棋士の物語り 虎次郎は行く(下巻)序【5】 「ヒカルの碁」の原作者との対談(2)

ほった 24時間夫婦が顔をつき合わせて仕事をしているわけで、些細なケンカはしょっちゅうあります。ひところ仕事場を別所帯にしようとしたことがありましたが、フロも食事も私のところに来られたら一緒のこと。結局、もとの木阿弥。長い机を2人で使っていたのが、別々になったくらい。ヒカルの碁も共同作業みたいなものでした。

ほったゆみさんインタビュー風景

―おしどり漫画家というわけですね。大ヒットしたヒカルの碁の作者は、ほったゆみさんになっていますが、それではご主人はご不満でしょう。共同作業ではご主人の嫉妬というか、違和感が生れませんでしたか。

ほった 若いころならあったでしょうね。この歳になれば理解しあえますし、雑誌社も作家名は女性の方がよいと思ったのでしょう。囲碁とのかかわり合いが少ない少年少女向けの漫画雑誌ですから原作者を女性名で、監修も日本棋院の女流棋士梅沢由香里さんという組み合わせ。もっとも囲碁の監修で口うるさく突っ込んできたのは男性軍でした。

―ヒカルの碁に登場する人物のモデルはいたわけですか

ほった まったくいません。平安の天才棋士・藤原佐為(さい)もヒカル…も。みんな架空の人物で漫画を担当していただいた小畑健先生もモデルはいないといっておられました。

―なぜ、秀策が登場するわけですか

ほった 囲碁雑誌などでよく名前を見るのは秀策先生。秀策流という棋譜の解説も目に止まっていました。何の根拠もないのですが、後世になって碁聖と仰がれるのは道策さんと秀策さん。道策さんは年代が遠すぎる。秀策さんは百四十年ほど前で近過ぎる。それなら平安時代の霊を通して秀策さんにお出ましを願おうというフィクションを組みたてました。だから秀策さんのことを研究していたわけでなく、この世の中で一番強いのは秀策さんだろうという漠然とした印象からでした。あえていえば、秀策さんだけは登場人物の唯一のモデルともいえるでしょう。

―囲碁の漫画やテレビアニメはむずかしいといわれてきました。将棋の駒は王将・飛車・角・金・銀・桂馬・香・歩などの文字が彫ってあり大きさも違う。碁は白・黒の石で数字も、文字も書いてない。だから表現がむずかしいとされてきました。

ほった 日本棋院の「囲碁未来」という雑誌に囲碁漫画を連載していたのがきっかけでした。アマ2級くらいの棋力では棋理に迫ることができないのでプロ、アマをとわずいろんな人たちの協力や助言をいただき囲碁取材のため韓国へも足を運びました。その韓国で日本の古典ともいわれる江戸時代の棋譜とパソコンでの現代研究とを併用しながら勉強しているのに驚きました。

―日本では秀策流など古典で足が遅い―などと決めつける棋士もいますが、棋風に気品があり力と美しさを感じると絶賛する棋士が多いことも現実です。なかでも青年時代の呉清源、現代の一流棋士では、小林光一、石田芳夫、武宮正樹など若いころに秀策から多くのものを学び、本因坊秀策の作品は「汲めども尽きぬ泉のようなもの」と評価されています。しかし、好みの問題もありますが、韓国、中国を含めプロの囲碁界の新時代が到来していることにはまちがいないと思います。

(つづく)

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