日本語弁論全国大会で受賞 瀬戸田高校 岡本アンシャリーさん(2年)

高校生が国際理解や国際貢献などの取り組みや研究、思いを共有して、交流を深めることを通して、世界の抱える諸問題を解決し持続可能な世界の構築をめざし、高校生として何ができるのかを自由に語り合う「場」として、第60回全国国際教育研究大会・第23回高校生日本語弁論大会が8月10日、開催された。今年は愛媛県開催の予定だったが、台風6号の影響でオンライン開催となった。

瀬戸田高校2年生の岡本アンシャリーさんはタイ出身で、6月に行われた中国大会で最優秀賞に選ばれ、全国大会出場となった。外国籍の生徒や留学生などによる日本語弁論大会は全国から7人の発表者がおり、岡本さんは「日本国際協力センター理事長賞」を受賞した。岡本さんは将来、キャビンアテンダント(国際線航空機客室乗務員)になりたいと夢を語っている。

瀬戸田高校視聴覚教室からリモートで大会に参加した。

第23回高校生日本語弁論大会
中国大会最優秀賞・日本国際協力センター理事長賞

「環境で人は変わる」

瀬戸田高校2年 岡本アンシャリー

皆さんこんにちは。私はタイの首都バンコク近くにある国内最大規模のクメール遺跡が残る町にある全校生徒約1,200名の大規模校から、尾道市にあるレモン生産日本一の生口島にある全校生徒約350名の小規模校に、小学6年生のときに転校してきました。

タイのクラスメートの多くが小学校卒業後、海外の学校に留学することが一般的だったので、私も日本で勉強できることが決まったときは、とても嬉しくてワクワクしたのを昨日のことのように覚えています。

ところが、日本に来た当時は、日本語が全く分からず大変苦労し、いろいろな場面で、言葉の壁を感じていました。

しかし、近くに住む年配の男性の方がボランティアで、高校へ入学するまでの4年間、日本語の読み書きから言葉の使い方まで、ゆっくりと丁寧に教えてくださり、今では日本で生活することにほとんど不便を感じることがなくなりました。感謝の気持ちでいっぱいです。

さて、タイと日本には、さまざまな文化の違いや生活様式の違いがありますが、その中の一つに「学校給食」があります。私が通っていた日本の小学校や中学校には給食がありましたが、タイの学校はいわゆる「給食」というものがありませんでした。では、生徒たちはどうやって昼食を取っているのでしょうか。

実はタイの学校には、屋台風のお店が何軒も立ち並ぶ場所があり、自分の好きな料理を選んで食べることができるんです。だから日本に来て初めて給食を食べたときには、とても不思議に思いました。

私が日本の給食について強く印象に残っている献立があります。それは、キノコやニンジンなどの野菜がたっぷり入ったクリームシチューというメニューです。それを口にした瞬間「味薄っ!」と思い、正直まずいなと感じました。

ところがその後、タイに住む兄に会いに行った際に、久しぶりにトムヤンクンやパパイヤサラダなどのタイ料理を食べた際、「味濃いっ!」と感じました。

色々と調べた結果、日本食は味が薄く栄養バランスが良い一方、タイはどれも味が濃く野菜も少なめなため偏食になり、体調を崩しやすくなってしまう傾向があるようです。

住む場所や環境の違いから味覚が変わるという大変貴重な経験をしました。私の母は今でもタイ料理を好んで食べていますが、私は今では日本の食事の方が口に合うようになりました。

そして、もう一つ貴重な体験をしたことがあります。それは、中学校の先生との関係です。私は中学時代ある先生に苦手意識を持っていました。その先生に対してどのような態度で接したらいいのか分からず、なかなか自分から話しかけることができませんでした。

しかし、高校へ入学してしばらくたった頃、中学三年生のときの担任の先生に会いたくて、友達と一緒に中学校を尋ね、廊下で立ち話をしているとき、たまたま私が苦手意識を持っていた先生が通りかかりました。そこで、勇気を出して自分から挨拶をし、当時私が抱えていた高校生活での悩みについて話をしました。私としてはほんの軽い気持ちで話をしたつもりですが、その先生は私の話を最後まで真剣に聞いてくださり、私の話を全て聞き終わった後、的確なアドバイスをしてくださいました。正直、聞き流されると思っていたのでとても驚きました。私が苦手意識を持っていた先生が、実は生徒思いのとても素晴らしい先生だということが分かった瞬間でした。今思えばその先生に対して私自身の中に「思い込み」や「決めつけ」があったのだと思います。

人と人が真剣に向き合い、本音で対話をすることで、人に対する見方や感じ方が変わっていくという大変貴重な体験をしました。

日本に来て5年。私はこの2つの貴重な体験を通して「環境で人は変わる」という大切な学びを得ることができました。「変わる」ことは私にとって、それだけ喜びや幸せが広がるということであり、私自身の成長につながると思います。

私はこれからも新しい環境に積極的に飛び込んでいき、さまざまなことにチャレンジしていきます。

そして、観光的にも経済面でも友好的な関係を築いているタイと日本の橋渡し役になることが、将来の私の夢であり目標です。

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