続・井伏鱒二と因島【23】その作品に表現された「因島」

ゴードン・W・プランゲ=写真=は1910年7月16日にアイオワ州ポメロイで生まれた。アイオワ州立大学に学び、1937年に博士号を取得したのち、メリーランド大学で歴史学の教授として教鞭をとる。

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1942年、プランゲ博士はメリーランド大学を休職してアメリカ海軍に入隊、1945年に占領軍の一員として日本に赴任する。海軍の任期を終えた後も民間人として日本に滞在し、1945年から1951年までマッカーサー元帥の下で歴史課長・歴史室長を務めた。連合軍による日本メディアの検閲が1949年に終了し、CCDが解体されることが決まると、残された資料の歴史的価値を見抜いたプランゲ博士は、機密扱いだったこれらの資料をメリーランド大学へと搬送できるよう整え、資料は翌年大学に到着し、1978年9月15日、ゴードン・W・プランゲ文庫と命名された。プランゲ博士はまた、著書『トラトラトラ』をはじめ、太平洋戦争に関連する研究でも高く評価されている。

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プランゲ文庫は、第二次世界大戦後1945年から1949年までに日本で出版された印刷物のほとんどを所蔵している。商業出版物はもちろん、非営利団体や組合、さらには多数の個人による出版物を含む資料群は、当時のあらゆる人々の「声」を表現している。これらのメディアの多くは日本には所蔵されていない。そしてこれらの資料を同大学と日本の国立国会図書館が協力してマイクロ化という事業を行った。また、「占領期新聞・雑誌記事情報データーベース化プロジェクト委員会」のホームページによれば、山本武利早稲田大学教授が代表となり「占領期新聞・雑誌記事情報データーベース化プロジェクト委員会(占領期メディアデーターベース化プロジェクト委員会)が、日本学術振興会の平成12年度(2000)~平成16年度(2004)科学研究費補助金(研究成果公開促進費)を得て、このプランゲ文庫コレクションのデーターベース化を作成する作業を行い、この占領期雑誌記事情報データーベースは平成17年(2005)3月31日に完成したが、現在も修正作業を行っているとしている。これらの資料は日本の国立国会図書館で閲覧できる。

ところで、このデーターベース化の最中に、井伏、壺井栄、林芙美子らの個人全集に収録されていない作品が多数確認された。井伏に関しては東京の警察雑誌「公安」に随筆「警官と私」、広島の警察雑誌「松風」に掲載された「捕物演出」が発見された。いずれも「新全集」には未収録であり、さらに小説「因ノ島」の創作の舞台裏を記したものである。その後、これらのプランゲ文庫コレクションから精選したものを岩波書店から『占領期雑誌資料大系文学編』(全5巻)・『占領期雑誌資料大系文大衆文化編』(全5巻)として出版した。井伏関連では「警官と私」が『占領期雑誌資料大系文学編』の第四(Ⅳ)巻に収録されたが、「捕物演出」は未収録である。

ちなみに「占領期新聞・雑誌記事情報データーベース化プロジェクト委員会」のホームページで「井伏鱒二」と簡易検索してみると、井伏鱒二本人の著述によるものはもとより、題名に井伏鱒二として出てくるものも含めると、190件が該当する。検閲のためCCDに提出された初出の「文芸春秋」版の小説「因ノ島」も含めすべて検閲処分を受けた形跡はない。これらは執筆の際、十分にCCDの検閲を意識したものだと想像するに難くはない。

(石田博彦)

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