碁打ち探訪今昔四方山話【32】「耳赤」のエピソード(5)起死回生の一石三鳥の妙手

耳赤の歴史的誤伝
 耳赤の対局は当時としては珍しい三日がかりの碁。どのくらい時間が使われたのかは不明です。それにしても幻庵因碩準名人八段に秀策四段は二子戦の手合い割りが順当。初日の二子の打ち掛けに引き続いて2日目も打ち継がれると思い着座していた秀策に「二子の手合いでは碁にならん」と黒先(六段格)で打ち直しを申し出た。驚いたのは見分に立ち会った因碩の後援者や弟子たち。後になって一局の打ち掛け碁で秀策の実力を見抜いた因碩の眼力は「さすが」と称賛されています。もっとも、井上家の当主を背負って本因坊家との争碁で破れた因縁もあって、老因碩にとって久々の闘争心がわき、天才青年を相手に指導碁を超えた勝負碁の気配が漂っていたことも想像できます。


 結果は、秀策必死の好局。因碩にとっても劣らず佳局となって現代も名局の一つに上げられています。この碁は黒2目勝ちで終局していますが、長年に渡って3目勝ちとされていたようです。近年になって分ってきたようですが秀策没後、百数十年間、何千人という碁打ちが耳赤の碁譜を並べて研究したはずですが、実際にアゲハマを取って碁を作ることをしなかったようです。3目でなく2目の勝負となると、ますます熱戦だったということになります。耳赤の一手から黒優勢のペースと解説する人がいますが、それまでがはっきり白優勢だったので延々コウが続き秀策の辛勝で金星をあげたことになります。
 2局目、秀策長考のあと「耳赤」が打たれ、今度は因碩が考え込んだ。この時、主治医が因碩の耳たぶが赤く染まったのを見て「先生苦戦」といったことから誰が名付けたか「耳赤の一手」として伝えられてきました。この一手を知らされた因碩応援者の部屋は騒然としたか、静まり返ったかしれませんが碁の世界は変ってしまいます。
実は一目差の熱戦だった。
(庚午一生)

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