しまなみ海道全通後の不安 さめた架橋ムードに恨み節

島しょ部住民が「夢の架け橋を」と、30年余かけ官民一体の陳情を重ねて建設された瀬戸内西瀬戸自動車道。1999年5月に本四連絡橋尾道―今治ルートが開通。全国応募により「瀬戸内しまなみ海道」と愛称が名付けられた。島と島を10の橋で結ぶ延長59.4キロに約10万人が住む。離島の解消を目的とした地域振興橋は平成の大合併の動脈となって尾道・今治への吸引道ともなった。このうち県境の生口島(因島市・瀬戸田町)と大島(今治市)の2ヵ所計12.8キロで未開通区間が残っており、島内の一般国道を結んでいる。

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 現在、この区間を国土交通省が2005年度完成予定で自動車専用道の建設整備を進めている。沿線自治体は開通記念イベントを企画。その一方で架橋ブームが一過性に終わり、さめた視線で当惑する観光関係業者などさまざま。いま、新年度予算期を迎え不調和音の中で巨大な橋をもてあましている。

生口道90%完了

未開通区間12.8キロの一般生活道路を連結して開通したしまなみ海道。そのうち生口島は1999年11月、国土交通省が工事着工。因島市側の生口島北インターと豊田郡瀬戸田町の生口島南インター間を結ぶ延長 6.55キロのうちトンネル部分2ヵ所、陸橋部分20ヵ所など約90%の工事を終えている。

あとのハード面はインターへの取り付け道路と路面舗装だが、厄介なのはソフト面。しまなみ海道の心臓部ともいえる道路情報など一括制御する交通管制システムの改修工事が残っている。このシステムを運用するのは本四公団第三管理局(尾道市)。瀬戸内しまなみ海道を光ケーブルで結び、天候や交通量など道路情報を集め交通管制室で年中無休の24時間体制で制御、運用している。

このほか海道沿線に設置した監視カメラ、気象観測器、交通量計測データを元に道路情報板を通じて路面状況を提供。故障車などからの非常電話にも対応する。こうした管制システム改修費は生口島と大島道路を含めて約15億円が見込まれる。

しかし、本四公団が発表した新年度予算にはこれらの関連工事費が計上されていない。もっとも、公団は国交省から委託を受ける側だから何も決めようがない。現在分かっているのはシステムを止めないで改修する複雑な作業に1年以上かかることだけ。

それでは2005年度中に全線開通に間に合いそうにない。だが、本四公団は「国交省の委託事業なので工期や予算などについてコメントできる立場でない」と、素っ気ない返事が返ってきた。

そこで、この時期になって予算や具体的工事計画が決まっていないのでは2005年度内の工事終了が難しいのでは―と、国交省中国地方整備局(広島市)に問い合わせた。

同局は「今国会で予算案が通過するまでは何も話ができない」と前置。今月末までには予算案が通過するだろうから関係住民に迷惑をかけないよう平成17年度完了を目標に作業工程を精査、必要予算確保に向け最終的な調整に入っていると意気込む。

愛媛県側の未開通区間である大島道路(今治市)についての国交省松山河川国道事務所も「現時点で2005年度の供用開始目標に変更ない」と言い切るが、その裏付けに説得力が希薄だ。

当惑する観光の島

はっきりしない瀬戸内しまなみ海道の全線開通に沿線自治体や住民の受け止め方は複雑だ。

観光の島瀬戸田町は未開通一般道路の車輌乗り入れによる騒音や交通事故多発で沿線住民の生活リズムをくるわせた。その一方で、町への入り込み客が激増するから内心ほくそ笑む観光物産業者。上下線とも必ず島に車が降りてくれるのだから功罪相半ばした。それも自動車道が全通すれば島の山裾を走り抜ける通過点に変貌するだろう。

開通当初、しまなみ観光をひとり占め勝ち組を誇った瀬戸田町もこのところ衰退の道をたどっている。それに追い打ちをかけるしまなみ海道自動車道全通工事。チャンスの裏にピンチが訪れた勝ち組にとっては恨み節に変わった。

明暗分ける島の表情

架橋時代を迎え船から車観光に様変わりした瀬戸田港からの耕三寺参道商店街。観光客の流れが変わりシャッター店舗が目につくようになった。

しまなみブームが一過性に終わったとはいえ、昨年末の17日「平山郁夫美術館を訪ねる道」=(社)日本ウォーキング協会主催・国土交通省後援=が「美しい日本の歩きたくなるみち500選」の認証を受け、芸術文化の香りがする生口島の魅力をイメージアップ。全国のウォーキング人口4000万人へのメッセージとなった。

世界の柑橘を集めたシトラスパークが閉園に追い込まれた瀬戸田町民のダメージは大きかったが、もう一度島に降りたくなる魅力づくりを考える機会と受けとめ自動車道全通への対応策を練る必要がありそうだ。

尾道市との合併を控えた因島市は緊縮財政のなか2005年度当初予算案に水軍城まつりなど全通を見込んだ記念イベントに約700万円を計上した。

広島・愛媛両県の沿線3市4町でつくる瀬戸内しまなみ海道周辺地域振興協議会もサイクリング大会など約4000万円の記念イベントを企画。しまなみ海道自動車道全通で再注目される企画を模索している。

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