尾道市第14回外国人日本語スピーチ大会より「あこがれの日本に来て」
掲載号 15年01月31日号
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因島鉄工研修生グエン・ヴァン・ビンさん(ベトナム)
私は、グエン・ヴァン・ビンと申します。26歳です。
ベトナム南部ホーチミンから車で5時間ほどかかる「ナッテイ」という静かな村からやって来ました。家族は9人で、兄弟は6人、みんな元気です。
日本に来て因島鉄工で働いていますが、6月には帰国しなければならず、残りひにちが少なくなり、さびしいです。
ベトナムにいた時、日本人はとてもがんばり屋で世界一の技術を持っており、経済は発展し、お金持ちの国と聞いていたので、うらやましく思い、あこがれていました。
ほかに中国とか韓国とかシンガポールなどの話はありましたが、私は日本に絶対行きたいと思いました。
日本へ行きたい人はぎょうさんいましたが、そのためには試験があり、運よくパスして、家族中でも大喜びしました。
そしていよいよ日本へ来たらそりゃービックリすることばかりでした。
まず道路は舗装され、ごみはまったくなくきれいでバスや電車や船は時間をまもります。でも値段が高いので遠くへいけません。
また、日本のトイレはとてもきれいで、ようをするときは自動でふたが開き、お湯がでて洗浄までしてくれるので、最初はたいへんおどろきでした。
つぎに日本人は、とてもやさしくて思いやりがあります。みなさんが、おかげさま、お互いさまの気持で私をかぞくのように受け入れてくれたので楽しい思い出をたくさんつくることができ、日本の文化に感動しました。
さらに日本には春夏秋冬があります。そして豊かな自然があります。だからたべ物はとてもおいしいです。魚は刺身で食べるととてもおいしいし、野菜は新鮮で、水や米はたいへんおいしいです。
おかげで少しぜいたくになり、体重も少し増えたように感じます。しかし日本のたべものはすべて値段が高いので、半額になった食料品を安いスーパーをさがして買い物することも楽しいです。
もっと驚いたことは、日本の女の子は背が高く、可愛らしくミニスカートもよくにあい、私は日本の女の子はあこがれですが、日本語はへたなものですから、お話できません。ただ見つめているだけでした。
帰国するまでには日本の女の子とカップルで千光寺へ登り、尾道の夜景を見ながら語り合うことができれば思い残すことは何もありません。
最後に私は、正直なところ貧乏がいやでお金持ちになりたくて、日本へやってきましたが、因島鉄工へ来て初めてわかりました。
豊かになるには、まじめに会社は休まず働き、まわりの人と仲良くして、仕事場でも住まいでも、整理整頓清潔にして、安全にけがをせず、病気にならないことでした。
私はベトナムに帰ったら日本で学んだ小さな工場を造ることが夢です。
ごせいちょうありがとうございました。