防空頭巾と伊勢湾台風

掲載号 14年04月05日号

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NHK朝ドラ「ごちそうさん」後半ではアメリカ軍のB29爆撃の惨状に続く連合軍占領下の「闇市」商売などがリアルに映し出された。見た人の年齢、環境によっては千差万別の受け止めようだったと思う。昭和シングル生まれの老体は、学徒出陣に続いて青年志願兵のあとは学徒動員で軍需産業の増産という名目で工場通いの経験者。

何時どこで空襲警報に合うか、身をふせぐ着衣といえば頭からかぶる防空頭巾だけ。頭巾の中に綿を入れ落下物の抵抗を防ごうという目的だが竹槍で1万メートル上空のB29に対抗しようという発想では歯がたたない。その頭巾も子女子の着用具で数少ない男子は戦闘用具だった。

もともと頭巾といえば頭や顔を保護する布だが、当時はヘルメットもなく頭巾に火が着けば大変だった。三重県赴任のとき伊勢湾台風の取材にあたり、下宿のおばさんが「これもって行け」と防空頭巾を出され、戦果をくぐり抜けた頭巾に力づけられたものだった。

(村上幹郎)

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