長寿と出版を祝う会 重井小フーちゃん先生 94歳の歩みが絵本に

掲載号 13年06月19日号

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「フーちゃん先生」と呼ばれる元重井小学校の教諭の橘高文子さん(94)の歩みが絵本になった。重井町出身の正路怜子さんが「せせらぎ出版」から4月、出版した。題名は「おいもがいっぱい フーチャン先生と因島・重井の子どもたち」。昭和13年から同18年が舞台で橘高さんの20歳から25歳までが描かれている。

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長寿と出版を祝う会が11日、重井公民館で行われ、当時を知る人たちら85人が集まった。

「重井町は人生の第一歩を印した所で、故郷のように懐かしい」と、橘高さんは感無量。正路さんは、「絵本を書くことで故郷の歴史を学ぶことができた」と語った。

翌日ふたりは、重井小学校を訪ねて朝会に出席し、全校児童の前で、絵本を朗読した。小学校では朝の読書タイムで読み聞かせをして、この日に臨んだ。

(青木悦子)

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傍目八目

恩師を招待して同窓会を催すのはどこにでもある話だが、70余年も続いているのは珍しいことである。

話題になったのは今年94歳という高齢を迎えた高槻市在住のフーちゃん先生(橘高文子)と尾道市重井町の教え子たち。還暦の祝宴に元教師として招待されたことから交流が再開された。今、その子たちは古希を過ぎ85歳。その人たちの呼びかけで先生の長寿を祝う会が重井公民館であり絵本を通して重井の古き良き伝統が高齢者パワーによって受けつがれようとしている。

スピーチの中で実家が異人館(現白滝山荘)の近くだったというご婦人は「宣教師のファーナムさんは日本語が上手でなく重井村民とのコミュニケーションに苦慮しておられたように見受けられた。日曜学校など幼児教育に奔走されていたようで瀬戸田、田熊、重井に現存する幼稚園がその足跡だ」と語る。このほか、絵本を通して農家の子供が多かった重井国民学校時代の戦時教育を切りとった絵本は若い世代へと受け継がれていくことだろう。

(村上幹郎)

 

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