掲載号 13年02月02日号

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 鬼は外、福は内―という節分の豆撒きをする声が聞えなくなった。もっとも立春前夜の節分は「鬼は外…」と叫んで家の中に邪悪なものが入り込まないようにと、豆に古い年の罪、穢をつけて鬼に持ちかえってもらうためのものである。となると、鬼も神の化身ということになる。

 保育所や園児たちがここぞとばかり、鬼をめがけて豆を投げつける仕草は道理にあっていないように思える。「鬼は、こっそり逃げて行く」という童謡の心づかいが伝わってくる。節分とは年を越し、歳をとる行事だから歳の数だけ豆を食べ、まいた豆には、罪・穢がいっぱいついているのだが、食べる豆には神聖な神の魂が宿り、同じ豆が全く正反対をもつことになる。

 各地の寺社では節分の厄除け祈願が行われるが、豆撒きの日ではない。節分は天地の"気"が変わり、人の運勢も変わるといわれている。ちなみに今年の厄年は二黒土星(死門入り)▽五黄土星(八方ふさがり)▽八白土星(鬼門入り)▽三碧木星(三年ふさがり)。

(村上幹郎)

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