旧田熊中は公民館などに尾道市が跡地利用に判断 小学校統合の既成事実化

掲載号 12年09月15日号

前の記事:“三庄説明会 PTAが賛意示す
次の記事: “空襲の子Ⅱ【40】十年間の調査報告 因島空襲と企業(4)

尾道市は6日、市議会定例会一般質問において、小学校統合問題の焦点のひとつになっている旧田熊中学校を、公民館と福祉保健の複合施設に活用する方針を示した。

dc091391

そして10日三庄、11日土生と開催された小学校統合問題の住民説明会で半田光行教育長は、土生・三庄・田熊の中学校跡地利用案を提示した。

旧三庄中は解体し、地域に開放。旧田熊中は複合施設、旧土生中は小学校の統合先に活用するというものである。

旧田熊中は、「田熊小学校を存続させる会」が田熊小の移転先に提案している場所であり、新たな波紋を呼んでいる。

これは、2100万円の旧土生中進入路設計委託・用地測量予算の9月定例議会提出につづく、小学校統合の見切り発車、既成事実化とも受け取れる。

「複合施設」が、田熊区長会などからの要望という形をとっているものの、小学校統合とからませての方針提示は、問題をいっそう複雑化させる危険性をはらんでいる。

田熊町のなかに不要な対立を持ち込み、小学校問題にあってはならない遺恨を生み出すおそれさえある。

説明会の形式化

こうした市教委による相次ぐ既成事実化の進行は、住民説明会の形式化を生んでいる。三庄、土生、14日田熊小PTAとつづく説明会に対して、旧土生中進入路予算成立のための議会対策だと批判する声も上がっている。

「統合賛成」の取り付けを最優先する結果、統合問題に関係する様々な重要課題の協議が後回しになり、ほとんどの住民が置き去りにされる傾向が強まっているからだ。

こうした事態がつづくかぎり、半田教育長が強調する地域との連携を土台とする「コミュニティ・スクール」は絵に描いた餅になる可能性すら出てきている。

関連書籍

E