ふくやま美術館 「生誕90年山下清展」

掲載号 12年05月05日号

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 ふくやま美術館で開かれている放浪の天才画家「生誕90年山下清展」が話題を呼んでいる。大正11年東京生まれ。千葉県の知的障害児施設「八幡学園」に入園。12歳のとき貼り絵に出合い全国放浪を経て画家生活に入り「日本のゴッホ」とまで呼ばれ映画やテレビで「裸の大将」のモデルとして知られている。残念ながら昭和46年、脳出血のため49歳で亡くなった。

 彼を知ったのは昭和30年代。精神科医の式場隆三郎氏が書いた単行本だった。清の作品を世に出そうとして食いものにするグループにふんまんやるかたなかった。

 施設を抜け出し、戻ってきた後で外の様子を思い出して制作するという特異な記憶力の持主だと絶賛するグループ。その一方で美術の専門教育を受けていない施設関係の人たちが衝動のまま表現する鮮烈な作品に注文をつけることで清の才能をつぶしてしまうとなげく。草津の露天風呂風景や鉄道線路を遠近法に直させると、清は線路の幅が狭くなると脱線してしまう―と頭をかしげたという。

(村上幹郎)

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