北朝鮮漁船遭難と因幡の白兎

掲載号 12年01月21日号

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遭難絶えない日本海の冬の海。なかでも惨めなのは北朝鮮からの脱国家族たち。

古事記に登場する「因幡(いなば)の素兎(しろうさぎ)」を重ね合わせてみた。ワニをだまして背中づたいにウサギが海を渡った。騙されたと気づいたワニが腹を立てウサギを身ぐるみ丸裸にした。

そこへ通りかかった大国主命が「きれいな水で身を洗い、蒲(ガマ)の穂綿にくるまれ…」と、救いの手を差しのべています。ワニを船団にたとえ、兎を船長に仕立て国家を考えてみると大国主命が見あたらない。さらには古事記には隠岐国からやって来たとあるが当時の航海技術から無理ではなかろうか。むしろ季節風や潮流の関係から朝鮮半島から東の国を夢見て渡って来たと考えるのが自然のように思える。

今年は古事記編纂1300年になる。神楽の中でメインになる八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の伝説など鉄の文化タタラの里も含めた古事記の現代編と取り組めないものかと北朝鮮の漁船遭難で思いをめぐらしてみた。

(村上幹郎)

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