林芙美子 紫陽花色のエピソード

掲載号 11年06月11日号

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 暦の上の梅雨入りは11日というのに沖縄気象台は9日梅雨明けの発表をした。例年より2週間も早く、観測史上最も早い梅雨明けとなった。

 梅雨といえば紫陽花(あじさい)がよく似合う花。濡れて輝く花菖蒲だという人もあれば、しっとりと咲くくちなしの花だという人もある。気温の変化が激しくご老体や病人にとっては体調管理に気遣う季節でもある。

 尾道駅かいわいでは「放浪記」で有名になった林芙美子の少女時代をしのぶ会が催される。48歳で急死した芙美子もアジサイが匂うころだった。今年で没後60年になる。

 移り気が代名詞のようなアジサイだが「ひたむきな愛情」という花言葉もある。花弁の色が白地に藍がにじんだと思えば赤みがさす。変幻自在のところが芙美子をしのばすという人もいる。

 芙美子の初恋の男性と忠海中学で同級だった因島信用組合初代理事長巻幡敏夫さん(故人)によると、芙美子にも一般的に知られていない弱いアジサイの色があったとエピソードを聞かされたことがある。

(村上幹郎)

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