広がる土葬 死者をどう弔うか 問われる宗教界

掲載号 11年05月14日号

前の記事:“北米紙幣になった日本女性 因島出身キミコオカノムラカミ 激動の時代乗り越えた移民家族【16】
次の記事: “因島高校が文科相表彰

 千年に一度という大地震に大津波が東日本を襲って2カ月を過ぎた。テレビ報道で見る限り復興のきざしの道は開けていない。余りにも大きな被害に何から手をつけていいのか打つ手をこまねいている現状。想定外のことばかりの中で、火葬場までも処理能力を超え一部の自治体が土葬に踏み切ったと聞く。ところが、土葬に抵抗感がある人たちが遺体を掘り起して遠くの自治体に運んで火葬するケースが出てきたという。

 遺族にとっては通夜―葬儀(告別式)―火葬といった通常のプロセスで弔ってあげたいという気持ちは心が痛いほどわかる。

 その一方で、土葬の現場では自衛隊が準備や身元不明遺体の搬送など担当。その活躍が評価されながらも遺族たちの割り切れない心情も理解できる。土葬にしたからといって遺族は自分を責めることはない。死者をどう弔うか。宗派をとわず葬儀のスタイルは変化している。こういうときにこそ被災地だけでなくさまざまな地域で宗教界が立ち上がるときではなかろうか。

(村上幹郎)

関連書籍

E