2010年の書「暑」について

掲載号 10年12月18日号

前の記事:“ポルノグラフィティ9回目の紅白出場 依然強い地元の応援
次の記事: “碁打ち探訪今昔四方山話【14】無類の囲碁好きだった「坂の上の雲」の正岡子規

 今年の世相を一文字で表す漢字は「暑(しょ、あつ)い」という字が京都・清水寺の舞台で特大の筆で揮毫(きごう)された。喉(のど)元過ぎれば熱さを忘れる―ということわざがあるが、ほんの数カ月前の酷暑を忘れて寒い冬を迎えているのでピンとこない人も多かったことだろう。

 クーラーなしでは過せなかった今夏。熱中症で亡くなるお年寄り、野菜の値上がり、みかん類にも影響があり、熊やイノシシ被害のニュースが相次いだ。自然環境のバランスが崩れると元に戻すのはむずかしい。

 昨年の漢字は「新」だった。民主党の政権交代で国民の期待は熱いものがあったが、暑いさなかの参院選で惨敗。ねじれ国会の迷走が始まった。国民は怒りから不安、落胆、失望へと熱い期待を裏切られてきた。

 ちなみに菅首相は10日夜の記者会見で2010年の一文字を「行」と表している。「修行」の行であり実行の行であるというわけだが、首相の仕事は修業の場という意識には多くの異論があるところである。

関連書籍

E