島々の秋祭り

掲載号 10年10月16日号

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 10月の土日は島々のどこかで秋祭りの笛太鼓の音が聞かれる。秋晴れの山車巡行、雨の宮居も身を清められる。戦後の復興と共に変化してきた農漁村文化の中で守られてきた各旧町村の秋祭りは高齢化の進むなかで明日への希望と勇気をふるいたたせると言えば大げさだろうか。

 郷土の勇壮な山車(だんじり)の太鼓と若い衆の担ぎ手の無心な表情を見せておきたいと孫を連れて20年ぶりに帰って来たという友人にあった。

 その孫が「10月は神無月(かんなつき)」だから神さまは不在のはず。留守のお宮でお祭りをすることになるのでは…」と問いかけてきた。「それは旧暦のことで、出雲地方だけは神有月になります」と簡単に回答しておいた。

 そんなことよりも何代も受け継がれてきた農漁村文化を理屈抜きで受けとめてほしいと思った。そこで知りあいの若い衆数人に頼んで山車の担ぎ仲間に引きずり込んでもらった。融合するのに時間はかからず「来年は服装をととのえてまた来ます」と帰って行った。

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