坂の上の雲の連載当時の時代背景について

掲載号 09年11月21日号

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司馬遼太郎原作の「坂の上の雲」が29日からNHKではじまる。産経新聞紙上で1968年からはじまり72年に終った連載だが多くの読者をとりこにした。

反体制的気分に満ちみちた一時期に日露戦争を題材にした小説を発表するのは、勇気が必要だったと思う。当時の新聞記者のタブーは左翼テロなどで危険を想定しなければならなかった時代。

この小説の構想を練り始めたのは連載が始まる5年前と聞いている。63年ごろは安保反対運動に代表される左翼的民族主義の異常な高まりに戦前や戦中を知っている人たちは当時の日本社会が不可解と映っていた。

そこに司馬さんは明治38年秋の日露戦争講和に反対して戦争継続を叫んだ一般大衆の日比谷暴動との相似を見たと思われる。日露戦争以来すっかり日本は変わってしまい40年後には世界大戦へと突入、敗戦。日本はそこで一回滅びた。60年の大衆の盛り上がりから日本は再び40年後ぐらいで滅びるのではないかという不安からこの作品を書かせたと思われる。

(村上幹郎)

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