金融市場の矛盾に一石を投じた亀井大臣のモラトリアム構想

掲載号 09年10月10日号

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 苛酷な真夏の総選挙が終った。広島第6選挙区の亀井静香先生は4年前、郵政改革問題で自民党を離党して国民新党を結成。権謀術数にたけた亀井流の政界遊泳術で少数政党の存在感を誇示、政権交代で金融・郵政担当大臣のイスに就いたのだから笑いが止まらない。といえば失礼にあたるだろうか。

 一般常識にとらわれずマスコミを批判したり、問題の本質を見抜くことで政界の論客の一人とも評価されている。中小企業への貸し渋り。貸しはがし対策として打ち上げた返済猶予(モラトリアム)構想も一例だろう。

 現代社会で「借りたものは返すのが当り前」になっているが、このルールを一時タナ上げしたのが関東大震災直後と昭和4年の世界金融恐慌当時の2度だけ。

 亀井構想に金融界をはじめ政経済界の中から「今はそんな時代ではないだろう」という疑問の声が出ているが今回の臨時国会に提案される。天気のいい日に傘を貸し、雨が降れば取りあげる金融市場の矛盾に一石を投じたことには間違いない。

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