秀策の名冠した原酒 造り酒屋白冠・藤本久子さん(76)

掲載号 07年07月14日号

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 囲碁の「市技」制定としまなみ海道唯一の造り酒屋である備南酒造有限会社での本醸造の原酒「本因坊秀策」の誕生は、平成9年。それから今日まで店のノレンを守ってきた3代目社長の藤本久子さん(76)は、囲碁まつりでも欠かさず販売してきた。

備南酒造・藤本久子さん

 全国から集まる参加者のうち秀策先生にあやかり、囲碁が強くなるようにと願って買って帰る人が増えている。普段の店頭での販売だけではなく地方発送も多い。味はまろやかで、「あーおいしい、フルーティーだね」と女性にも好評。いくら飲んでも悪酔いしないのが特徴である。

 1月から4月の酒造期には、世羅米を洗い、蒸してこうじを作り、仕込む。それをさらに熟成させて搾る

 このすべての工程が、手作業で、その年の自然に委ねてハラハラ、ドキドキの連続である。厚い土壁に包まれた酒蔵に昔から、ずっと同じ酵母菌が住んでいるおかげである。

 目の不自由になった2代目の淳一さんの手足になり2人3脚でやってきた。平成15年、夫がなくなって一人で蔵元と杜氏を務めてきた。相撲が国技であるように日本酒はいわば国酒である。「市技」である囲碁がつづくかぎり、守り神である秀策さんとともに精魂込めてつくっていきたい。

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