日本画家中村千里さん個展「自然と人間の調和」(因島土生町市営駐車場多目的ホール)

掲載号 07年06月09日号

前の記事:“因島郷土資料館元副館長の村田市郎さん「百歳万歳」昔懐かし連絡船模型展で祝福
次の記事: “日本棋院因島支部長に聞く 囲碁の館(仮称)建設に期待 オープン記念に棋聖戦

 因島在住の日本画家中村千里さんは6日、因島土生町の市営中央駐車場多目的ホールで個展を開いている。11日(月)までの6日間。今回のテーマは、自然と人間の調和。中国山地の風景を描くことをとおして人間と自然が共存する理想郷を表現したかった、と中村さんは語っている。「春気」「秋気」「山気」「沼」「秋色」など50点。

 生まれ故郷の因島にUターンして画業に精魂を傾けている日本画家中村千里さん(63)。11日まで開かれている個展会場でのこと、取材に訪れた新聞記者の質問に若葉色の濃淡で描いた山深い森林と沼池の風景を「心象」で表現した―と説明していた。日ごろ耳慣れない「心象」という言葉を辞典で探って見ると「心中におこるさまざまの思い。心理学で過去に経験した事物の形が、ふたたび意識の中に現れたもの」とある。

 つまり、記憶や直感によって思い浮べたものの姿、イメージと理解すればよいのだろう。写真と絵画の違うところである。青(群青)を捜し求める平山郁夫、美しい赤を求めた故奥田玄宋両画伯の月光の輝きは心象をほうふつとさせるものがある。

 中村作風の「深山幽谷」の緑の天空に月光が顔を出す日が訪れるのか、どうなのか、勝手気ままな妄想をしながら作品観賞に時の流れをオーバーラップした。

 なお、中村日本画教室から尾道市美展で市長賞を受賞した戸田照夫さんをはじめ3人が入賞したことにも賛辞をおくりたい。

関連書籍

E