【番外編】風のとおり道 ― 尾道小路

5月4日。
蒼く晴れた空を反映し
しまなみの海が碧くひかり輝いていた


キラキラと煌めくさざ波に
カモメが一瞬重なり合う
kazenotoorimichi.jpgきょうは 尾道散策―
石畳の小路を
ときを遡るように ゆっくりとのぼる
暮らしの匂ひがただよう この町の小路
ふと あの路地を曲がると
さわやかな緑の風が
わたしの頬を過ぎていった
ここは”風のとおり道”―
ノスタルジックな風情を醸し出す
尾道の風である
やさしくて どこかなつかしい
こころにとどく風である
尾道小路の”風のとおり道”を
わたしは こよなく愛している
きょうの緑の風は
わたしを郷愁の旅へと誘ってくれた・・・
でも その郷愁は
わたしの知らない”むかし”への旅
そんなどこか共通した”記憶”が
わたしたちの想い出のページを 過去へとめくってくれる
尾道の風の速度で
ゆっくり ゆっくりと・・・
hanamizuki.jpg”風のとおり道”を過ぎた路地で
いつものその場所に
花水木の花が咲いていた
蒼い空に すいこまれるような
尾道の5月―
”風のとおり道”は また
わたしのこころの時計を
ほんのすこしのあいだ
”むかし”へともどしていった
―”あの夏”へとどく 風の小路―
わたしのすきな”尾道の風” ・・・

筆者紹介

阪本憲司
阪本憲司福山大学生命工学部海洋生物科学科 准教授・博士(農学博士)
尾道の対岸に浮かぶ向島むかいしまに移り棲み、かれこれ20年近くになります。向島は、”しまなみ海道”をつなぐ島のうち、尾道側から一番目の島になります。向島の最高峰『高見山たかみやま』の山頂展望台から眺める風景は、季節や時間を問わず、いつでも素晴らしく、風光明媚な瀬戸内の自然を存分に体感できます。

私は京都市に生まれました。その後、長崎(佐世保)、三重(伊勢)、徳島(小松島)、岩手(盛岡)、宮城(仙台)、広島(尾道)と日本各地を転々としてきました。これらの地の風土に暮らし、さまざまな自然の姿をみてきたことで、ほかにはない”しまなみ”の素晴らしさを実感しています。

『しまなみ海中散歩』と題したこのコーナーでは、瀬戸内海のことや、ここに棲息している魚介類のことなどを皆様に紹介してゆきます。どうぞよろしくお願い致します。

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