キュウセン~性転換をする魚
キュウセンは、ベラの仲間です。しまなみでは、「ギザミ」という名で親しまれています。キュウセンには、いわゆる“青ギザミ”と“赤ギザミ”と呼ばれる異なる色彩をもったものがいます。
左が青ギザミ。右が赤ギザミ。
“青ギザミ”は“赤ギザミ”よりも比較的大型です。スーパーでパック詰めされたギザミを見ると、“赤ギザミ”はひとつのパックに数尾が詰められ、“青ギザミ”は1尾パックで売られているケースが多いように思えます。
じつは、この“青ギザミ”・・・以前は“赤ギザミ”だったのです!! おもしろいことに、“赤ギザミ”はメスで、“青ギザミ”はオスなのです!! つまり・・・キュウセンはメスからオスへ“性転換”する魚なのです。
オスの“青ギザミ”は、複数のメス(赤ギザミ)を引き連れてハーレムをつくります。一夫多妻の繁殖形態をとって、子孫を残しているのです。
ただ、おもしろいことに、ハーレムをつくることができないオスが当然出てきます。そこで・・・このオスは自分の子孫を残すために、とくべつな戦略をとらなければなりません。このオスは、“青ギザミ”とならずに、“赤ギザミ”のままでメスのふりをして、ハーレムを形成しているオス(青ギザミ)と他のメスがペアとなって産卵する際に、こっそりと割り込んで自分の精子をかけて行くのです・・・。
キュウセンは、繁殖以外にもおもしろい生態をもっており、眠るときは砂の中に潜って眠るのです・・・。つまり、砂がお布団代わりになるのです。
福山大学の水族館で飼育しているキュウセンも、朝、水槽の電気をつけてやると、砂の布団の中から出てきます。とても可愛い仕草ですっ!!
筆者紹介
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尾道の対岸に浮かぶ向島むかいしまに移り棲み、かれこれ20年近くになります。向島は、”しまなみ海道”をつなぐ島のうち、尾道側から一番目の島になります。向島の最高峰『高見山たかみやま』の山頂展望台から眺める風景は、季節や時間を問わず、いつでも素晴らしく、風光明媚な瀬戸内の自然を存分に体感できます。
私は京都市に生まれました。その後、長崎(佐世保)、三重(伊勢)、徳島(小松島)、岩手(盛岡)、宮城(仙台)、広島(尾道)と日本各地を転々としてきました。これらの地の風土に暮らし、さまざまな自然の姿をみてきたことで、ほかにはない”しまなみ”の素晴らしさを実感しています。
『しまなみ海中散歩』と題したこのコーナーでは、瀬戸内海のことや、ここに棲息している魚介類のことなどを皆様に紹介してゆきます。どうぞよろしくお願い致します。
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こんばんわ。
naochinxと申します。
カンムリベラ、カミナリベラを飼育していました。
砂の中で眠っているのはみたことなかったですね。
キュウセンだけですかね?
いやあ魚って本当に面白いですね。
naochinxさま・・・
コメント頂いていたのに気づかず、お返事が遅くなってしまいました。
申し訳ありません。
キュウセン以外のベラでも、砂の中に潜って眠る種がいます。
福山大学の水族館で私が飼育しているコブダイは、砂の中には潜らず、岩に寄り添って眠っています・・・。
いえいえ
お忙しいところ回答いただき、真にありがとうございます。
コブダイですか・・・岩が布団がわりなんですね。
今現在、室戸で採集したクマノミを飼育していますが、
最近までイソギンチャクがいなかったので岩(ライブロック)
で寝ていましたね。
チョウチョウウオも自家採集ものがいますが、今年初めて
餌付けに成功しました。
去年から採集を始めて、いろいろ餌を与えてみたのですが、
結局なにも食べず、痩せていき、最後は餓死するのです。
アサリは水を汚しますし、毎日与えるのは大変ですから
今はタラコを与えるようにしています。
タラコをコップに入れて、真水で洗いながら、汚水を捨て
透明になるまで繰り返しますので、飼育水はほとんど
汚れません。
でも、採集から24h以内では、餌を与えても食べてくれないです。
でもなんとか、今年からは、採集魚を餓死させずに飼育できそうです。
海水魚の飼育で他になにか注意点があれば、またご指導いただけますでしょうか。