因島で見た野鳥【61】ヒヨドリ

スズメ目ヒヨドリ科の一種で、全長27.5cm、体は全体に灰褐色に見えるが、頭は青灰色ぎみで、褐色の耳羽が目立つ。クチバシは黒く細く、尾羽は長く、スマートな体型をしている。胸から腹にかけて灰褐色で白い小斑がある。年中人家の近くで、「ピーヨ ピーヨ」と騒がしく鳴き、野菜などを食害し、春はメジロを攻撃して花蜜を独占する姿を見る。色合いが地味なこともあって、あまり人気はない。

しかし、富山県砺波市では、市内で身近に見られ、種子の運び屋として森づくりに一役かっているということで、市の鳥に指定している。生息範囲は主に日本や朝鮮半島で、世界的には珍しい野鳥である。因島では、年中見ることができる留鳥であるが、群れによっては、季節で移動する漂鳥かもしれない。

平安時代には、ヒヨドリの鳴き声を競う「鵯(ひよどり)合せ」が盛んで、ヒヨドリを飼う人もいた。井上靖の歴史小説「後白河院」に、つぎのような記述がある。「承安三年(1173年:筆者注)五月…鵯合せが行われ…今を時めく公卿殿上人、左右に分れ賑やかに行われた。左はお頭が大納言重盛卿、右のお頭は中納言邦綱卿。鵯を合わせて、その鳴声を競うだけではあるが、風流をつくし、贅沢をつくした…」。このときは、平家全盛の時代で、同時に平家凋落の始まりの時でもあろう。権謀術策を弄して、武家との覇権争いをした後白河院の催であるから、この鵯合せは、表向き雅でも、駆け引きが暗躍し張り詰めた会であったろう。

ヒヨドリは、平安時代に、鳴き声から「ひえどり」と呼ばれ、これが「ひよどり」と転じ、一層鳴き声に近い名前になったらしい(菅・柿澤:鳥名の由来辞典)。

(文・写真 松浦興一)

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