春を誘う風物詩 手造り名酒本因坊蔵元 寒仕込み酒造り始まる

創業80余年という尾道市因島田熊町の備南酒造㈲=藤本久子社長・蔵元、TEL0845-22-0523=は、今年も伝統にこだわって暦(こよみ)に合わせ大寒の20日、昔ながらの手法で蔵開き、寒仕込みの新酒造りが始まった。

手作り寒仕込みの新酒造りが始まった酒蔵。


 一年中で一番寒い季節の朝あけやらぬうちに酒米を蒸し、蔵人は桶に入った蒸し米を肩にかついで運ぶ。わらむしろの床にひろげてさましたあと、ころあいを見て、室内30度の麹室(こうじむろ)に移して酵母菌を植えつける。厳寒の汗だくの手作業である。
 この室で酒米にくるまれた酵母菌の活動が始まると別棟の厚い土壁の仕込み庫のタンクに移される。ここで本格的な醗酵が始まり糖分を分解してアルコールと二酸化炭素を発生しはじめる。酒造りの工程のなかで昼夜わかたず油断できない重要な期間で、室温や外気を気遣って夜中も2時間おきにタンクの醗酵過程を観察、温度調整など気遣う。
 順調に作業が進めば、来月中ごろには一番掛けの槽搾(ふねしぼ)りにかかる。新酒造りの工程で一番ハードで緊張する作業だ。ヒノ木造りの木枠の箱の中に仕込み庫のタンクで熟成した乳白色の醪(もろみ)を衣袋詰めにして積み上げ、自らの力でしぼり取る。
 この搾りたての原酒を槽口(ふなくち)というが、そうした風情のなかに香りがただよってくる語感がある。かつて因島にあった7軒の酒造会社も、いまはここだけになった。そして槽搾りも県内の酒造では見なくなった。巨大なアコーディオン風の自動圧搾機から新酒がしぼり出されており詩情にかけるが、これも時の流れ。
 3月初めには、槽から流れ落ちる新酒の音に耳をそば立て、芳醇な香りを賞でながら至福のひと時を味わう左党が集って新酒祭りが催される。

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