因島で見た野鳥【157】ジョウビタキの翼

尾羽が脱落したジョウビタキを発見し、その再生の様子を観察した。その再生の様子を次回以降に、翼の羽根などと対比して述べる予定なので、ここでは、翼と尾翼について説明する。

鳥の羽衣は、いろいろな機能を持つ無数の羽毛からなっており、その殆どは、皮膚に生えている。「いちばん羽毛の数が多い種を見つけるために、鳥のすべての羽毛を数えるという、まったくうんざりとする作業をした人がいる。それによると、一番は、コハクチョウで、2万5千216枚であった」(M・ブライト著、丸武志訳、鳥の生活、平凡社 1997年)。

スズメ目でよく囀(さえず)る鳥を鳴禽(めいきん)類といい、因島で見る小鳥の殆どは、ジョウビタキを含め鳴禽類で、これらの羽毛は2,000~4,000枚である(フランク・B、ギル、鳥類学)。

飛行に重要な羽(風切、小翼羽、尾羽)は、骨に付着している。

図①は翼の骨格で、人の上腕、前腕と手に似た骨格をしている。

手に相当する骨は、複数の骨が癒合(ゆごう)して指、骨の数が人に比べ少ない。羽根が付着した様子を1枚の羽根で例示している。翼を構成している羽根の枚数は、鳴禽類ではほぼ同じなので、ジョウビタキの例で説明する。

図②は、翼の羽の様子である。第2指と中手骨に初列風切(9枚)が付着し、尺骨に次列風切(6枚)と三列風切(3枚)が付着している。

風切の基部には、多種類の雨覆(あまおおい)という羽根の集まりが上面と下面にあり、風切の基部の隙間を無くし、翼の面をなめらかに保つ。第1指には、3枚の小翼羽が付着している。図②で名前を示していない羽根の集まりの多くが雨覆である。羽ばたきで、初列風切は推進力を生み、次列風切は揚力を生む。

写真①は、オスのジョウビタキが図②のように翼を広げたところである。(三列風切は見えていない)

写真②は、翼をたたんだジョウビタキ・メスである。

鳥の姿勢にもよるが、初列風切と次列風切は、あたかも扇子のようにたたみ込まれ、その側面しか見られないことが多い。腰あたりに見えるのは三列風切(T1、T2、T3)である。雨覆は肩あたりの皮膚から生えている多数の肩羽の下にほとんど隠れ、わずかにしか見えないことが多い。

小翼羽は、着地する時に広げられ、失速を防ぐ。小鳥の写真では確認が難しいので、着地しようとするダイサギ(写真③)で小翼羽の様子を示した。

飛行機が離着陸するとき主翼の前縁・ 後縁にフラップ(可動翼片)を出し入れするが、これに似た働きをする。

尾羽は、中央の2枚と左右に5枚ずつの12枚あり、人に例えれば尾骨(尾骶骨、びていこつ)に相当する尾端骨に付着し、基部の上側は上尾筒、下側は下尾筒の羽で覆われている。ジョウビタキでは、中央の2枚の羽根は左右の羽根より黒味が強い。

今回は、主として次の資料を参照した。

文・写真 松浦興一

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