水没のさまにも見ゆる水船が意外と速し潮流に乗る

松本悦郎
 船体がいまにも沈んでしまいはしないかと思うほどに、吃水線を低く波を蹴立てて進んでいる。
 ―ん、あれは水船だな。
 以前によく見かけた薄黒い船とは違って、カラフルになったと思いながら見ていると、いつの間にか視界から消えようとしている。何にでも潮どきと言うのがあるように、満ち潮の流れに乗っていると、エンジンの力に潮流がプラスして意外と早い。


 水船は停泊中の大型の船や航海直前の船舶に生活用水を補給するのが目的であるので、船体の構造も独特の造りが必要であって、船体の大方が水槽になっており、強度的にも機能的にも適う造りである。水船の船体は小型ではあるが、エンジン音も重く力強い音を立てている。
 因島の大浜﨑灯台のある高台から因島大橋、備後灘を眺望していると面白いように船が行き来する。その船の数では関門海峡には遥かに及ばないものの、大きい船、小さい船、大型タンカー、小型タンカー、バラ積み船、クレーン船、砂利船、カーフェリー、レジャーボート、釣り船、種類も船型も色々である。何れも目的をもって忙しげに波を切っている。船体に塗られている色彩もまたカラフルであって、ペンキ塗りたての船から、錆びついた船もあって、ここにも人間の縮図を見せられるおもいがして来る。
 作者はこれらの船の群にまぎれるように、吃水深く潮流(満潮)に乗っている見憶えのある水船を見つけたのである。船体の形状やデッキに付けられてあるぎ装品の類も他の船と違っているから一度記憶したら忘れはしない船型である。
 陸上と違って船員さんは水を大事に使っているそうである。船の大きさや乗組員の過多もあるけれど、長い航海に使う水の量も計算されてのことであって、しかも銘水と言われるような清水をトラブルなく積み込むのが水船の果す仕事である。
(文・池田友幸)

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