NHK「おひさま」で思い起こす防空頭巾の思い出
NHK朝の連ドラ「おひさま」は、戦中教育を思いおこす光景が蘇ってくる。戦後生まれの人たちにはショッキングでいら立たしい思いにかられるだろうが、そういう時代であったと切り捨てることで現代を再興してきたとも言える。
自由思想の弾圧。米空軍の空からの軍民無差別爆撃に対し国防婦人会の竹槍訓練とバケツリレーの消火訓練で立ち向う大和撫子(やまとなでしこ)の無駄な抵抗は現代人にとっては滑稽に見え一笑に付すだろうが、当時は死活にかかわる大まじめな光景であったわけ。
女性はモンペ姿に防空頭巾。傷害防備のため綿の入った頭巾だから防火にはならない。今から思えば、なにもかも理屈に合わないことばかりで一億玉砕の道を走りつづけていたと思うとぞっとする。
防空頭巾を最後にかぶったのは戦後のヘルメットがなかった昭和34年9月の伊勢湾台風のとき。風速50メートルを超える暴風雨の中、取材に出ようとすると下宿のおばさんが「これをかぶって」と防空頭巾を差し出された。
(村上幹郎)
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