北米紙幣になった日本女性 因島出身キミコオカノムラカミ 激動の時代乗り越えた移民家族【4】

島を訪れると、ここに住む人々の温かさ、地域社会のなかでの信頼、助け合って生活している姿勢は観光客にも伝わっているようです。もともと環境保護への意識が高いカナダですが、なかでもソルトスプリング島は農地や保護管理地が多く建築制限も厳しい地域とされています。


島を愛し、島の文化を保護するユニークな発想の一つとして地域だけ流通している通貨「ソルトスプリング島ドル」がある。マーケットで野菜と焼きたてのパンを交換するなど住民がお互いの自給自足を送っていました。その延長線上で生まれた通貨がカナダドルと等価で流通しています。こんな平和な島でオカノ・ムラカミ家族にとって忘れられない悲劇の時代がありました。

三女の事故死と不審火

オカノ家族にはもう一人の娘カズエがいました。1910年1月1日生まれの三女です。彼女が2歳の誕生日を迎える前のこと。オカノ家がソルトスプリング島で獲った魚を運河を通ってバンクーバーに運ぶ大きな魚船から降りるときに海に転落、溺れて亡くなりました。ソルトスプリング島内で日系の娘を埋葬することを禁じられた一家は亡くなったカズエの葬儀のためにバンクーバーまで足を運びました。

ところが、バンクーバーに行っていたその間に今度は一家が所有する居住ボートと経営していたニシン養殖場の一部が不審火で焼かれるという災難が重なりました。

水難火難が立て続けにおきたオカノ一家は日本の親戚に身を寄せるためメキシコ丸に乗船しました。落ち着く先は広島県因島の田熊村に暮していたキミコの祖母が住む家でした。祖母は当時、78歳。高齢の未亡人でカルといい、言葉の通じない孫たちと暮すことになります。

この当時の日本でのオカノ家の生活を聞きとりに足を運んだが知る人もいなく、ジョン・エンドウ・グリーアウェイ氏のストーリーをそのまま紹介することにします。

キミコの祖母カルと暮すようになった2人の子どもが学校(田熊小学校)へ入ることが決まると、父親は仕事を続けるためにBC(カナダのブリティッシュコロンビア)へ単身戻り、さらに母親はミヨコという末娘を出産したあと、学校に通っていた上の2人の娘を年老いた祖母のもとに残し、生まれたばかりのミヨコだけを連れてカナダへ帰っていきました。日本に残された2人の娘からするとあまり親しくもない祖母のもとに置き去りにされたも同然で、キミコは傷つき、怒りを覚えたことはいうまでもありません。

日本に残されたキミコは妹の面倒を見なければならなくなりました。このことが絶えず“誰かの面倒を見る”という役割を担う運命をたどることになります。自分の子どもを持ってからは特に、極度な過保護な母親になった―と、キミコ自身が回顧しています。

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(庚午一生)

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