伝説の碁打ち 本因坊秀策【4】初心者にもわかる名勝負 歴史に残る「耳赤」エピソードその二

世の芸事は日進月歩するもので囲碁の定石も例外でない。一石二鳥、四鳥にも「耳赤」の一手は、劣勢であった秀策の大逆転につなぐ妙手となった。その意味では「大勢上の大好点」と表現するのが適正かもしれない。

閑話休題 十数年前のことだが、秀策の出身地因島でタイトル戦があった。その前夜祭のレセプションで挑戦者の某棋士が「こんな手は今なら誰でも打てる」と一笑。さらに「秀策さんに勝てるかも・・・」とつけ加えた。

早い話が、耳赤の一手は有名であり、のちのちまで研究され、この手を知っているから、そんなことがいえるのだろうが、一流の棋士にも打てないかも知れない。コロンブスのタマゴと一緒ではないか―と、反論したかったが、場所がら胸にしまっておいた。

耳赤の語源 因碩主治医か

百五十年来の碁豪 勝負事は「一手」で大逆転することがある。「耳赤」の一手は、上、下、左右の大局観に裏打ちされた名手の名に恥じていない一手と一流棋士は称える。

左上の黒27は127手。秀策の黒盤次の一手があまりにも素晴らしい妙手であった。この一石で上辺の黒地モヨウを広げ、攻められそうな下方黒4子に手をのばし、中央の白地を消し、左辺白に打ち込みと消しの狙いがあり、一石四鳥の妙手。この黒27をなぜ「耳赤」と言うのだろうか。

この対局に因碩の主治医が付き添っていた。かつて、本因坊家との争碁で跡目秀和と井上因碩の対局のとき、因碩が内臓疾患のため下血で中断した。この日も、指導碁とはいえ本因坊と井上家因縁の勝負碁の気配濃厚。老因碩も久々の闘争心がわいていた。

負けてもともと―。秀策は目いっぱいの我慢の碁。劣勢を挽回する次の一手黒27に着手するのに長い時間を要した。次の一手は老因碩が長考。次の間に控えていた主治医が因碩の体調を気遣い表情をのぞいて見ると顔面から「耳」まで赤みをさしていた。人間興奮すると血がのぼり顔面が紅潮したりする。耳たぶまで赤みをさしているのは「先生苦戦」と判断した。だが、耳が赤くなったからといって、どちらが勝つか判らなかった場面である

歴史的誤伝 実は2目差

黒27の一手に因碩が動揺したことは間違いない。気を取り直した因碩は、これまで白有利に打ち回していただけに碁は非常に細かい。終盤をいかに勝ち切るかにかかっていたわけである。

結果は黒3目勝ちで終局したと記録されている。それが150年後の今では2目勝ちと訂正された。この間何百何千人という人が、この碁を並べて研究してきたことだろうが、実際にアゲハマを取って碁を作ることをしなかった。それを最近になってやった人が現れたわけである。

(つづく)

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