映画ヒナゴン公開によせて ヒバゴン取材回想記

ヒナゴンが5月28日から広島県内の映画館で上映されている。30年ほど前に比婆郡の山間辺地の住民が目撃したという立って歩く怪物「比婆ゴン」騒動で揺れた山村を舞台に信じることの大切さを描いた直木賞作家重松清さんの小説が原作。

当時、産経新聞福山支局に勤務していたので、この類人猿騒ぎにふり回されたものだ。学生探検隊が山里へ繰り込んでくるなど70年代のニッポンは平和だった。立った姿が2メートル以上もあったという目撃証言から「月の輪熊」だろうという学識者の意見で落着した。

東城町帝釈では広大考古学グループが2万年前の人骨を発掘したというニュースに世界中から学者が訪れ、町役場に外人係を新設。隣接の甲奴郡上下町ではツチノコ騒動―と珍事が続いた。

上映の初日、福山の映画館で舞台あいさつした主演女優井川遥さん(28)はヒナゴンを通じてまちおこしに取り組む町役場の職員を演じた。ふって沸いたバカバカしい未確認情報も描きようでほのぼのとした気持ちになれるものだ。

(村上幹郎)

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