碁打ち探訪今昔四方山話【14】無類の囲碁好きだった「坂の上の雲」の正岡子規

閑話休題 NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」(司馬遼太郎原作)の二部が始まったところで正岡子規(香川照之)が死んでしまった。このドラマで残念でならないのは東郷元帥も乃木大将も大久保利通も皆碁好きであったと伝えられる。ところが、囲碁のシーンがほとんどありません。正岡子規は軍人ではなくて俳人で有名なことと無類の碁好きという点では共通しています。

どれくらい好きだったかといえば、結核性カリエスという病気と闘いながら句作にとりくむ傍ら、敷きっぱなしの寝床の中に碁盤を持ち込んで、門人と打ったり、詰碁をひとりで解いたりしていたそうです。

子規は病魔と闘い、死に直面しながら俳句をつくり、後に短歌もつくり続けました。俳句や短歌に関する評論も発表、鋭い舌鋒はとどまるところを知りませんでした。そういう子規でしたがNHKのドラマでは碁を打っているシーンがなかったので消化不良をおこしました。その子規の碁に関する俳句をあげてみると

  • 下手の碁や四隅かためる日永哉
  • 寂しげに柿食うは碁を知らざらん
  • 碁の音や芙蓉の花に灯のうつり
  • 勝ちそうになりて栗剥く暇かな
  • 月さすや碁を打つ人の後ろまで
  • 碁にまけて厠に行けば月夜かな

どの句も意味はわかり安いので解説の必要はないでしょう。そしてどれもが結核による喀血を繰り返し、やがてはそれが結核性の脊髄カリエスという死の病に冒されてからの作品と思われます。病床に碁盤を持ち込んで石をいじっていたといわれています。

  • 焼栗のはねかけて行く先手かな
  • 蓮の実の飛ばずに死にし石もあり

囲碁用語を読み込んだ句もあれば、病床を思わせる切ない句もある。

  • 昼人なし碁盤に桐の影動く
  • 碁に負けて偲ぶ恋路や春の雨
  • 真中に碁盤据えたる毛布かな

部屋の中は子規一人です。碁盤に桐の葉陰がうつって、それが動くことで時間の経過を知る。孤独で寂しさが漂う。碁に負けた悔しさが、昔去っていった恋人を連想するが、いまは病床でどうしょうもない。最後の句は病床の毛布の真ん中に碁盤を据えて碁の相手を待つ―心境をよんだものでしょう。

NHKの「坂の上の雲」は日露戦争の日本海海戦が近づいているが、ロシヤのバルチック艦隊を撃破した連合艦隊司令官東郷平八郎元帥と旅順要塞を攻略、水師営で敵将ステッセルと会見、降伏文書にサインさせて名をあげた乃木希典大将も碁好きだったが、いずれ劣らぬ「ザル碁」だったそうです。戦争と碁の力は別なようです。

(庚午一生)

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