福島放射能汚染地域に生きる子どもたち【4】

 そんなとき、ある4歳の男の子が保育室のタタキから空を見上げて「園長先生、あの空から毒が降ってきているんだよ」と青い空を指差しながら言いました。「空から毒が降ってくる」、見えない放射能を見つめる子供たち、外に出られない子どもの悔しい気持ち、外で砂遊びが出来ない悲しい気持ちを伝えたかったのだろうと思うこの言葉は今も私の心に深く突き刺さって忘れることが出来ません。


 色もない、臭いもない、見ることも出来ず、ただ検知器の数値で捉える以外にそこにあることが分からない、そして数センチという僅かな場所の違いでもその数値が大きく変わる放射能、これをどうしたら良いだろうと、雑草の生え始めた園庭を見ながら考えました。
 ある時、東京電力と私たちが今後のことで、様々なことについて話し合う時がありました。早速、子どもたちの言葉と残念な気持ちを伝えたところ、何も感じないのか、何の反応も返って来ないのです。何でもお金で解決しようとする大人たちには、子どもの心の痛みが見えないのです。私はこの子どもたちの痛みや悲しみや悔しさに寄り添って欲しい、一度、それぞれの幼稚園に来て子どもと遊んで欲しいとお願いしましたが、あっさりと断られてしまいました。共感する力、想像する力、子どもを思いやる愛の欠如を感じて、非常に残念な気持ちで帰って来ました。こういう方々が仕事をしている企業では、人の心の思いを感じる想像力よりも、損か得かと言う計算しかないのだろうなと思いました。そして1000年に1回の大津波対策をお金の損得で判断して、この災害を起こしたこと、大勢の人々の人生を丸ごと奪うという取り返しのつかない結果を招いたことが良く分かるような気がしました。
2 福島に生きる子どもを大切にしない人々
 福島県は、特にいわき市などの浜通りは、地震・津波・原発災害・放射能汚染・余震・政府行政不信、そしていわれのない差別等々と二重三重どころか五重六重の苦悩を背負うこととなりました。
 3月11日、私たちは、原発はメルトダウンが起きているのではないかと思いましたが、それでも、自分たちが避難する程の深刻な事態に至るとは受け止めていませんでした。原発は「止める。冷やす、外に出さない」が合言葉になっていますが、テレビでの政府の会見もそう言っているので半信半疑ながら、会見の言葉を信じていこうと思っていました。
 しかし、12日の午後3時36分、福島第1原発第1号機が水素爆発し、午後5時近くのニュースで報道されると少し真剣になりましたし、やっぱりメルトダウンしていたのかと思いましたし、これまでの政府会見の言葉の空しさを感じました。虚飾された言葉で騙した政府や東京電力への不信感がこのときはっきりと私もそうですが多くの人々に生まれました。嘘つき会見、大本営発表会見です。騙された私たちはこれ以降、政府や東京電力の発表を信じないこととしましたし、発表されるたびにその裏を考えました。それから報道関係やそこで語っている解説者や専門家=御用学者の評論的言葉が虚しく聞えて来てました。政府もテレビも解説者も遠くから発言しているだけです。この福島と言う現場に来て、それでもそう言えるのか、同じコメントが出来るのか、発言するならば、福島やいわきに来て、言って欲しいと思いました。
土屋修二(瀬戸田バプテスト教会牧師・博愛幼稚園園長)

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