75歳老人のフーテン 東北の旅【12】

9月8日(日)⑦

折り返して大熊町まで戻ると右手に曲がり、大熊町は山手が帰還困難地域から解除されて、そこに大熊町の町役場が新築されているので案内するという。遠目にも立派な庁舎が見えてくる。あいにくの日曜日、大きな駐車場は空っぽである。ここで何人程度が働いているのか尋ねると100人程でしょうという。

このあたりは震災まえから民家がぽつぽつあるが帰還率どの程度かはっきりしないがほとんどが空き家のように見受けられた。そこからしばらく行くと行政が造るコンパクトシティのミニチュア版のような地区にでくわす。帰還される方は高齢者が多いのだから医療施設・老人保健施設・商業施設のある公設避難用住宅のニュータウンが造られつつある。

造成された分譲地は3割ほど新築の住宅が建っている。50歳ほどの夫婦が新居の前の庭の手入れをしているので話しかけてみる。ここでの生活はいかがですかと聞くと以前と変わらないと答えるので、それでは新居になっただけ快適ですねというとそれはそうだと笑っていた。恵まれた夫婦なのであろう、そのうえ手厚い災害補償によるゆとりがあるのか、日曜ののどかな午後を過ごしているのだ、あまり余計なことを聞いてくれるなという雰囲気を漂わせているので対話はやめる。

このあたりでは田も畑も山も家までもみな放射能に汚染されており、土地・不動産へのこだわりが薄くなっているようだ。そして皆さん簡単に土地を手放しているようで、そのうえ自治体には思いもかけぬほどの多額の補助金が舞い込み、この際とばかりに土地を買収し大型の道路工事も至る所で進められている。そしてニュータウンの建設。自治体にとって町の基本構造を変え、理想的な町づくりのチャンスとして大規模に推進しているようだ。

(田中伸幸・因島田熊町)

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