西日光・耕三寺「未来心の丘」世界的な建築大賞を受賞 並はずれた大理石の彫刻庭園と絶賛
西の日光として観光と信仰を集めている耕三寺博物館(豊田郡瀬戸田町瀬戸田553-2、電話0845-27-0800)園内の大理石彫刻庭園「未来心の丘」がこのほど世界的に権威のある「マーブル・アーキテクチェアル・アワード2005」(以下MAA)のアーバン・ランドスケープ(都市景観)部門の大賞を受賞した。
「未来心の丘」はしまなみ海道全通を記念して、世界中のお年寄りから若者に感動を与える彫刻庭園を―と、世羅郡甲山町(現・世羅町)出身の環境彫刻家・杭谷一東さんが同博物館の依頼を受けて構想から17年、着工から12年の歳月をかけて制作した大作=写真上。イタリアのカラーラから運んできた大理石で構築した。敷地は面積約5千平方メートルで大理石彫刻庭園としては世界最大規模。大小様々な大理石のモニュメントが配置され、通路や壁までも付近の景観に合うよう緻密に計算されて作り上げられた庭園だ。
MAAの主催者は同園を「並みはずれた規模で形の異なる多量の石材を使用することにょって、石材の可塑性の特徴を表現する屋外空間を創造した」と評価、応募53点(うちアーバン・ランドスケープ4点)の中から大賞に選んだ。
受賞の報告を受けた杭谷さん=写真下=は「制作時に、私のライフワークとして世界一大きいことをやっているという自信はあったが、受賞できるとは思っていなかった。やってきたことが認められてうれしい」と喜びを語っている。耕三寺博物館も受賞の知らせを受け、詳しい資料づくりに奔走している。
授賞式は6月4日にイタリアのカラーラで催され、各作品の写真展や展示会が同時開催される。MAA(Marble Architectual Awards=天然石の特性を生かした建築物、デザイン、プロジェクト)を世界中から募って選ぶ権威あるコンテスト。世界を6のエリアに分け、各地域で6年に1回開催。対象作品は3つのセクション(外装、内装、都市景観)に分かれている。日本(東アジアエリア)での開催は1985年から。過去の主な受賞作品には新凱旋門(フランス・パリ)やゲッティ・センター(アメリカ・ロサンゼルス)などがあり、日本では広島県民文化センター(佐藤総合計画)、佐川美術館(竹中工務店)などがある。
杭谷-東(くえたにかずと)1942年、旧甲山町生まれ。1957年彫刻家圓鍔勝三氏に師事。1962年日展に初入選、以後8回連続入選。1969年イタリアに渡り、国立アカデミー彫刻科で著名な彫刻家ファッツィーニ教授に師事し、1971年卒業。1974年にはファッツィーニ教授の助手としてバチカン宮殿の「キリストの復活」制作に参加し、1990年にはこのたび死去したローマ法王のヨハネ・パウロ二世に謁見(えっけん)。これまでに県内を中心に国内37ヵ所にモニュメントを制作している。
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