ノルウェーの子育て支援制度
今日は、とてもよい天気。息子はふりちんで家を歩いています。このまえは3回連続で床と毛布におしっこ。おしっこに気づいてもらう特訓ですが。。
タイでは、1年でオムツを終えることができるそう。。がんばれ幸一くん!
今回はこちらにきて遭遇している、「子どもと関連するノルウェーの制度」について紹介します。
少子化対策のため各国に様々な制度があると思いますが、やはり日本に比べてこちらでは、子供を育てやすい環境があるのかなと思います。
日本の内閣府2003年の調査で、子供を理想の数より少ない数しか出産しない理由として、「子育てにお金がかかる」という理由が60%と最も多くなっていたことを考えると、やはり国や社会による子育て支援制度は、金銭面で特に求められていることが分かります。
出産にあてられる有給休暇について
両親ともに働いている場合、52週(約1年間、80%の給料)で、または42週(約10ヶ月、100%の給料)で、母親と父親で分けることができます。そのうち4週間は父親が取る権利を持ち、9週間は母親にあります。
2005年の調査によると、77%の父親が3から4週間の休暇をとり、15%が4週間以上、15%が休暇をとらないという現状のようです。日本はどうですか?
【参考】尾道市の場合
日本では「産前産後の休暇」および「育児休業」と呼び、次のように定められています。
「産前産後の休暇」は、出産前6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)と、産後8週間を事業主に届け出ることにより取得することができます。
しかし、労働基準法は出産休暇中の賃金についてとくに定めず、労使の自主的な交渉ににゆだねています。労働協約や就業規則で出産休暇中の賃金を全額保障している企業も少なくありませんが、 賃金が支払われない女性労働者で健康保険の被保険者に対しては、「出産手当金」として、標準報酬日額の60%が支給されます。
また、子が1歳に達するまでの間に取得できる「育児休業」では、両親とも働いている場合、父親、母親いずれでも育児休業をとることができます。休業中には、「育児休業給付」と呼ばれる制度もあります。育児休業を取得したときは、一定の要件を満たした場合に、雇用保険から休業前賃金の40%相当額の育児休業給付が支給されます。したがって、
- 日本では「出産手当金」または「育児休業給付」として休業前賃金の60~40%相当額の支給に対し、ノルウェーでは80?100%の支給がある点
- 父親と母親の出産・および育児に関する休暇取得をそれぞれに権利として週数を定め認めている点
が違いますね!
出産手当について
日本でも社会保険または国民健康保険に加入している人は、約30万円を受け取ることができたと思いますが、ノルウェーでは約35000クローネ(約64万円)でした。
しかも、ノルウェーでは出産にかかわる費用は、すべて無料です。
【参考】尾道市の場合
出産児一人につき30万円の支給額があります。したがって、双子の場合は60万円です。
でも、日本では出産にかかわる費用は約30万円掛かりますので、これではまかなえないというのが現状です。
- 約64万円(ノルウェー)と30万円(日本)では日本は半分以下である点
- 出産費用がノルウェーでは無料という点
が違いますね!
子ども手当て
これは子どもが0歳から18歳の間に受け取ることができるものです。毎月971クローネ(約17,000円)が父親か母親の口座に振り込まれます。
1946年に“子どもをもつすべての家族に均等なサポートを”というイギリスの考え(英語でチャイルドサポート)を取り入れたものだそうです。
【参考】尾道市の場合
日本では「児童手当」と呼ばれます。0歳から小学校第6学年修了までの児童を養育している人(ただし、所得制限あり)が、受け取ることができます。
第1子=5,000円 / 第2子=5,000円 / 第3子以降=10,000円 となっています。したがって、
- 第1子の場合で比べてみると約17,000円(ノルウェー)と5,000円(日本)では日本は3分の1以下である点
- 18歳まで支給される点(日本は約12歳までです)
で大きく違いますね!
保育手当て
1歳になると、幼稚園(保育園と幼稚園がいっしょになっている。昔は日本と同じで分かれていたそう)に申し込むことができます。もし幼稚園を使わずに家で世話をすることを選択する場合、3歳になるまで、その分、母親の口座に3100クローネ(約56,000円)の手当てがもらえます。
しかし、現在新しい考えがでてきて、この手当てをなくし、無料の幼稚園にしようという方向に移行しつつあるようです。私には子どもを育てていることへのお給料のようなもので、心の一つの励ましです。
【参考】尾道市の場合
日本には、この手当ての制度はありません。
ちなみに、尾道市の公立保育所の場合、保育料は毎月約2万~6万円で所得税などに応じて異なります。公立幼稚園の場合は、毎月6,100円となっています。
保育も一つの仕事だとするならば、”母親からその仕事を無理に奪ってしまわない”ことができる、興味深い制度だと思います。
【おまけ】ヘンリック・イプセンについて
写真はノルウェーの国家的劇作家ヘンリック・イプセンのお墓。
もっとも有名な作品は『人形の家』です。この作品がノルウェーの男女均等の励みとなっているのだと思います。
5月17日の独立記念日に近づくと、学校から生徒と引率した先生がクラスでやってきます。作品を読んだりもします。
筆者紹介
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こんにちはHaruです。18歳まで因島で育ち、三庄小、三庄中、尾道東高の出身です。現在は北欧・ノルウェーの首都オスロに夫(ノルウェー人)と息子(名前は幸一)の3人で住んでいます。2004年12月にオスロで初めての出産をし、ただ今幸一君は1歳6ヶ月です。妊娠・出産・子育てはすべてが初めての驚きと発見の連続でした。そんな私の初体験を「北欧からの子育てだより」にしてお届けしたいと思います。
ノルウェーは、湖がたくさんあって、瀬戸内海に似た風景があちこちにあります。北欧の人はみんな自然が好きで、重要であることをよく知っています。ある人は雪のダイヤモンドダストのことを話し始めると目がとろんとする。人間的には落ち着いたのんびりした人が多いかなあ。でもヨーロッパ人は外見みんな大人っぽいですが。。休日には多くの人が別荘(小屋)に行ったり、山歩きしたり、ベリーを摘みに行ったりしますよ。
私と夫はモダンダンスが大好きで、イギリスでモダンダンスの留学中に知り合いました。寝ていた幸一君の首がすわり、首が動き、座るバランスがとれ、後ろ下がりから前進へ、4つんばいのメカニックができ、2本足で立てる力がつき、そこでバランスと転げることを何回も繰り返して歩くことを覚えました。幸一君と遊んでいると時間がどこかへいってしまいます。
そして、つたい立ち、つたい歩き。今は、やっと歩けるようになったかと思うと、もう走ろうとしています。手を上げたり片足でバランスを取ったり足踏みを楽しんだり、子供は身体を動かすのが大好き!子供とのダンスにも興味津々な日々。
北欧での子育て。私たちは「自然にも人にも思いやりのある元気な子供」に育って欲しいなあと思っています。
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先日、スウェーデンとデンマークを旅してきました。
そこで気づいたことは、各地で赤ちゃんを連れたカップルを非常によく見かけることです。
夫妻にかかわらず、おしめを替えたり、お昼寝させたり、とても幸せそうな姿を見ました。
日本では、ママ一人が赤ちゃんを連れていたり、電車に乗っていたりする姿が多く、子育て=大変のイメージが強かったのですが、夫婦そろって子供に接する北欧の日常を見て、子供っていいなぁ、うらやましいなぁ、と思いました。
ちなみに、私は愛媛出身です!
はい。たくさんのパパ達が1人で乳母車を引いて歩いている姿をこちらでは多く見かけます。平日の日中というのもとても自然です。4人の子を持つ知人いわくデンマークはもっと子どもに優しい国だそうです。私もいつか行ってみたいです。ちなみに私の産まれは奈良県生駒郡の法隆寺の近くです!1歳になる前に因島に戻りましたが。
7/26(水)付けの日経新聞に次のような記事が出ていました。
「厚生労働省は出産費用として、健康保険から親に支給される出産育児一時金の支払い方法の改善策をまとめた。いまは出産してから約一ヶ月後に現金で対象世帯に渡す仕組みだが、年内にも健康保険から医療機関に直接支給する方式に改める。親は三十万円程度かかる分娩費用を準備しておかなくても済むようになる。
分娩は健康保健の対象外だが、出産育児一時金として赤ちゃん一人につき三十万円(十月から三十五万円)が現金で支払われる。・・(中略)・・ 改善案では出産予定日の一ヶ月前から事前申請を受け付け、出産したら健康保険が病院に直接支給する。その上で最終的な分娩費用が一時金よりかかった場合は親が不足分を病院に支払い、一時金で足りたら病院が差額を親に現金で返す。平均的な分娩費用は約三十二万円とされ、一時金が三十五万円に増額された後は通常の出産なら親の資金負担は不要になる。
(中略)・・ ただ、加入する健康保険や出産する病院によっては、実施時期がずれこむ可能性もある。」
30万円から35万円に!
微々たる額ですが、支給額アップは嬉しいですね!!
病院への直接支払いという点は、うまく利用できるか少し不安ですが。
haruさんみたいな立場の方って、ノルウェーの育児手当と日本の子ども手当と2重に受給できるっていうことじゃないですか?
その辺、どうなさっているんでしょう?
出産育児一時金も、両国から貰うことって、可能なんですか?
私の妹は、7年程前ノルウェー人との結婚以来、ノルウェーで仕事をしながら滞在しています。
妹夫婦を訪ねて訪れたオスロで感じた事は、本当の自由と平和が日本では未だ実現出来ていないのでは?と言う疑問でした。なので、この間のオスロのテロ爆弾事件とウタヤ島での悲惨な事件には本当に驚いています。
個人的な見解ですが、ノルウェー人の国民性はとても日本人に近いのではと思っていまして、そのかわり大きく違うのは、政治のあり型と教育の質であると思います。
多くの方が、ノルウェーをはじめとする北欧の国々の社会福祉、特に子育て支援について書かれていますが、その実態は、皆さんが考えておられる内容以上であると申し上げなければ行けないところに、怒りと悲しみが湧いてきます。
日本の少子化は世界的に見てもかなり深刻な事態になっていまして、今の日本の政治に対する不信や今後の経済状況から考えますと、増々深刻になって行くのではないでしょうか。
ちなみに私は神戸市に住んでおりまして、育ち盛りの二人の子供がいます。二回の妊娠共とっても順調でお産もとても楽なものでした。夫は子育てにとても協力的で、今まで二人三脚で子育てを頑張って来ました。
そんな私でも三人目、四人目に関しては、とても悩んだ末あきらめました。
その一番の理由は、やはり「子育てにお金がかかる」でした。私の周りでも多くのカップルが私たちと同じ理由で、二人目、または三人目をあきらめていますし、中には「こどもを持たないで自分たちの人生を楽しみたい」「こどもを持つって事は貧乏になるって事でしょう」などで、親になる事自体に否定的になっている人もいます。
ノルウェーに住む私の妹夫婦は、長い間こどもを欲しがっていますが、残念ながら未だ不妊治療中です。
でも自分達は仕事をしたり税金を納めたり、社会福祉に積極的に参加する事で、子育て(未来を作る)を支えているんだと言うプライドと責任感を強く持っているのが、彼らとの会話でよく感じられます。
こどもを「他人の子」ではなく、「私たちの未来」として考えているところが、日本との大きな違いではないでしょうか。
その日々の少しの考え方の違いが、二十年、三十年と時間を重ねるに連れ、大きな違いを生むのでしょう。
この間のウタヤ島の事件についてのニュースを見ながら、事件の悲惨さと共にすごく驚いた点は、事件を目撃したほとんどのこども達(年齢約14?18歳)が、外国の記者の質問に対し悠長な英語で答えていたところです。
私が以前耳にした話では、ノルウェーには塾などなく大学への進学率も日本に比べかなり低いと聞きました。では、この差はどうして?
また、他の方々が述べたノルウェーと日本の子育て支援について、忘れてはならない事実があります。それは、教育費と医療費です。
私の知っているあるノルウェー人女性の例を見ますと、
三人の子を持つ専業主婦の彼女の場合:(子育て支援金 約17,000円×3人分)+(専業主婦育児賃金 約56,000円×3人分)+(教育費負担 0 )+(医療費負担 0 )+(お父さんの育児休暇100%給料で1ヶ月×3回)
と日本の実態とはあまりの違いがあると思います。
ちなみに私の妹のノルウェーでの不妊治療も38歳までは全額国が負担していました。39歳からはいろんなリスクから国として進めていない為、全額実費になるんだそうです。
以上の事柄を考えると、今の日本には「がんばろう!」だけでは解決出来ない問題があまりにも多いのが見えて来ます。
女性の社会進出が発展しているのは、ヘンリック・イプセンの影響が少なからずあるのではないかという指摘はなるほどと思いました。
分からないのは、テロ事件などの犯罪について自由を尊重するのと同時に社会規範の意識を育む必要性もあるのではないかと思いましたが、それはごくごく一部の人たちだけの問題であるのかとも思いました。