衆院選30日告示・9月11日投開票 全国の注目集める三つどもえ 国・民・無(こくみんなし)で1議席の争奪戦

掲載号 05年08月27日号

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(敬称略)

 小泉内閣総辞職を回避した衆院解散劇は30日告示、9月11日投開票される。首相は「郵政選挙」と位置づけ「刺客」を送り出す激情型選挙戦の様相だが、有権者は何が一番の争点と考えているか、投票結果が注目される。

 今回選挙で全国300選挙区の中、特別な注目選挙区広島6区。郵政民営化関連法案の急先鋒で、国民新党を旗揚げした前職亀井静香に民主前職の佐藤公治が地方区で4度目の挑戦。それにライブドアの堀江貴文が小泉首相の支援を受け無所属で出馬する。


2005082700012.jpg 亀井派「志帥会」会長を辞任した亀井静香は仲間のために旗揚げした国民新党の比例代表を断わり退路をたち地方区出馬で背水の陣。「美しき 生まれ育ちし わが山河 古里のため 我は戦う」と支持者に胸中を披露。「やりまくる。見ていて下さい」と声を張り上げる。

 派閥の会長だった前回選挙は仲間の応援で全国遊説のためほとんど帰って来られなかった。今回は地元に張りついての遊説行脚。選挙区をくまなく回り、29日の因島市で全行程を終わる。

 30日の出陣式は、25年前の初出馬のさい最初に後援会の産声をあげた因島で第一声。初心に帰り広い選挙区を一巡する。


2005082700013.jpg 過去2回、民主党の比例中国で上位ランクされ復活当選した佐藤公治は悲願である地方区での初勝利をめざし4度目の挑戦。日ごろから「愚直(ばか正直)に地道に」と、街頭演説やミニ集会を重ね政策を訴えてきた。30日夕因島入り。

 亀井VSホリエモンの生テレビ論戦とは距離を置き、郵政民営化については「でたらめな法案に反対だが、民営化を反対しているのではない」との立場。郵政よりもしまなみ海道無料化や子育て支援などを前面に出し政権交代を訴える。

堀江貴文氏 どこへ行くにも報道陣のタクシー十数台が続く。紺色のTシャツ、黒パンツ姿で14日(日)午前10時すぎ因島を訪れた。

 市内スーパーを手始めに土生商店街を報道陣従えて徒歩で見聞。各地で人垣ができ握手を交わしたが、街頭演説をすることもなく、観光客もまばらだった県立因島フラワーセンターを見てどう思ったのだろうか。

 無所属で激戦区に出馬する堀江貴文。精力的に尾道を基点に三次、庄原、府中などほぼ6区全域を駆け足で一巡。どういう戦術で亀井、佐藤の陣営を切り崩すのか全国の注目度は高い。

 テレビ生討論で亀井さんを「シャイな人、こわ面だが人情家」と分析。表敬訪問を受けた亀田良一尾道市長は「さわやかでしっかりしている」三原の五藤康之市長は「強引なイメージ」と刺客ホリエモンの人物鑑定。目標は10万人と握手するという。

3候補三様の戦いに過熱 公明・共産自主投票の行方

 紺のスーツで背水の陣の亀井さん。大物相手に三輪自動車「トライク」で駆ける佐藤さん。黒のTシャツ「改革」胸に人垣つくる堀江さん。3者三様の選挙戦が過熱してきた。

 前回の平成15年11月の衆院選の因島市の得票は亀井8597票(6区11万7659)▽佐藤6995(10万677)で、その差1602(約1万7000)

 比例票は自民5873票(広島県45万9815)▽民主5848(46万9217)▽公明2718(65万7311)▽共産591(7万2869)▽社民811(7万823)。

 公明党県本部は、自民党が公認候補を擁立しない広島6区について、情勢に大きな変化がない限り、特定の候補を推さず、事実上の自主投票を申し合わせた。前回総選挙は亀井陣営と公明党との選挙協力の実績を踏まえ今回も支援する可能性が強い。公明は比例中国で2議席死守。議席を失った共産、社民は議席奪還を掲げる。

 因島の選挙区は、自民系の政財界人が亀井支持を掲げ、旧日立民社系の市議、労組OB、連合らが佐藤支援母体。長いしがらみのある激戦区で堀江陣営がどうからむか注目のマト。

傍目八目

 テレビのワイドショー番組の話題までかっさらう解散・選挙準備情報。郵政民営化関連法案の参院否決・衆院解散という前代未聞の激情型選挙戦はいよいよ30日告示、火蓋が切っておろされる。

 小泉内閣が全国に放った「刺客騒動」も一段落。各党のマニュフェストが発表され、影の薄かった民主党がやっと土俵に上がれる出番がやってきた。もっともマスコミ報道の企画が郵政造反組VS刺客劇を続ければ有権者も思慮分別を失い激情型選挙をあおられることになるだろう。選挙戦に入れば直接候補者の呼びかけに、見たり聞いたり、人柄や理想に触れたり、感じたりして感動や充足感をおぼえることになる。その上で、一時の感情に駆られることなく冷静に判断した投票行動に移ることが望ましい。

 それにしても広島6区が日本中が注目する選挙区になったことも古今東西まれに見る出来事。「お蔭さまで瀬戸内から備北山間部までPRしてもらった」。だが、良い意味でのPR結果になるかどうかは今後の課題。

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