海賊・自由と仲間と家族と【10】

掲載号 05年04月16日号

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水練の者

役割 海中での探索。
資格 水泳は日本の水軍で必須科目だが、その中でもとりわけ泳ぎが達者でなければならない。

日本水軍にあって、南蛮水軍にないもの

 泳ぐことに対する見方は、日本水軍と南蛮水軍の間で大きく異なる。日本では泳ぎは軍事的に重要視されているが、南蛮では船乗りが泳げるかどうかは重要視されていない。そのため実際、南蛮の水軍の中では、泳げる者の方が少ないのである。上で、泳ぎに対する日本と南蛮の見方の違いについて述べたが、実際に水練の者が軍事面でどのような活躍をしていたか、もう少し詳しく見てみたいと思う。

  • 暗い夜の海での探索も可能。
  • 碇泊中の敵船の錨綱を切断して流し、座礁させて沈没させる。
  • 錨綱を切って、風上の船を、風下や潮の流れの下の船にぶつけたり、他の船と接触させる。
 このような水練の者の見事な働きによって、敵船の陣営を混乱させることができるのである。そして、この混乱に乗じて水軍が攻撃を始めるのだ。また、水練の者は、上のような仕事をするために、泳ぎが上手いだけでなく、山立のように、海のことに詳しくなければならないのである。スゴイ!

水夫(かこ)

役割 船を操る人。船乗り。帆・櫓・櫂を操り、碇、伝馬(荷物などを輸送する小船)、荷物などの上げ下ろしをした。江戸時代には船頭以外の船員、あるいは幹部(船頭、舵取りなど)を除く一般船員を指した。

水夫のここがスゴイ!

 船を漕ぐだけでしょ、とあなどるなかれ!一人でも漕ぐタイミングがずれれば、船は進まないどころか、その場をクルクルと回ってしまう。安宅船ともなれば、100丁もの櫓がそろわなければならないのだ!この団結力、スゴイ!

四、海のおきて

 これまでに見た通り、海賊は本当によく組織された集団である。しかし、良い組織には、しっかりしたルールが必要である。ではこれから、海賊たちのルール、海のおきてを見ていこう。

制法の巻

一、船軍は万事につけてけんかとか争論などのないようにつとめ、上下の者は皆一つの思いをなし、それぞれ生死を等しくしなければならない。
一、侍大将はもちろんのこと、諸役の者にいたるまで、すべて人に無作法があってはならない。付、自国の領土内においても、領国外においても、けっして乱暴ろうぜきがあってはならない。
一、用事もないものが、乗っている船内を歩きまわったり、思わせぶりな行動をとるのは、厳しい禁制である。もしこれに背く者がいれば、切腹に処すべきである。
一、合印(割り印)を用いることなく、合いことばをも忘れるような者は、たとえそれが味方と分っていても即座に切り捨てるべきである。
一、自分の働きを認めてもらおうと抜けがけをするのはよくないことである。

(『合武三島流船戦要法』「一 制法の巻」)

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