島に生きる【48】生口島に千頭近く繁殖 イノシシ毎日畑に出没

掲載号 03年09月27日号

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 「夕方4、5時に来てごらん。毎日イノシシが出ているよ」

 と、東生口洲江町の農家長田実衛さん(69)と千鶴子夫人が教えてくれた。夫妻は毎朝パトロールを行っている。長田さんの畑は8反5畝で町内で一番広い。八朔、ミカンを中心に出荷。キヨミ20本、デコポンが60本ある。広いということで被害も一番多い。

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イノシシに荒された八朔の根を指す長田さん

 イノシシが毎日出没し、餌にセミの幼虫、ミミズなどをあさって、柑橘畑のいたるところを掘り起こす。毎日のことなので埋め戻しも追いつかない。最も頭が痛いのは、雨の少ない夏場に八朔の根を掘り起こされ、根をやられること。耳をすましていると「プッツン」と根をきる音が聞こえるという。

 2年前から、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、トウモロコシ、ユリなどの栽培をあきらめた。イノシシは皮をきれいにとってミカンを食べるし、芋類を上手にすくいだして食べる。草のない手入れの行き届いた畑にかぎって狙うのだから憎たらしい。

 農家も手をこまねいていたわけではない。網を張りめぐらし、竹の柵を作り、さらにはトタン板で防御壁を建てた。しかし、敵もさるもので、それらのガードの底を掘り侵入してきたのだ。行政にも陳情をくりかえしたが、トタン板購入の補助金が出だしたものの、抜本的な解決策は提示されない。「東生口だから行政は腰をあげないのか」と、不信感がつのるという。

 いまや島嶼部もイノシシの最大の繁殖地である。それにどう立ち向かうか、全市民的課題となっている。

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