外さない夫の表札子の名前五人家族がいま一人となりて

掲載号 04年11月27日号

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安川二三子

 あれから、もう何年になるだろうか、近所隣りのどこにも二人三人と子供がいて、夕べの食卓もにぎやかで、主婦はなりふり構わずに子育てに没頭していて一日の充実感にあふれていたが、子達の成長と共に一人目二人目と就職に結婚にと島を離れてゆき、終には主人も病気で亡くなって、昨年十七回の年忌を済ませたのである。

 玄関の格子戸の上にがっちりと掛かっている五人全員の表札はあの頃のままである。十七年を経っても全く外す気はない。時には表札を拭いたり埃を払ってもと思いながら、ときに話しかけたい時があるから不思議である。

(池田友幸)

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