赤い柄(がら)少し勇気の要りしこと着たからと言って何事もなく
掲載号 04年10月23日号
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村上 冨美子
この歌は女性としてごくありふれた日常の関心事を素直に述べている一首である。それでいて読み終えたときの気持のさわやかさが覗いている。
「この服の柄、私に似合うかしら、それに赤い絵柄が入っているし・・・」
鏡に向かい着たり脱いだりしながら思案というところである。だからと言っていつまでも衣紋掛の花にするわけにもいかない。この春に百貨店の売場で女子店員のひとことの口添えがあって少々派手かなと思いながら買ったのである。
「おばちゃん、良くお似合いですよ、赤がよくて・・・」。
私が決めたんだからこれでよしと、スーパーに出かけたのである。
「私五歳くらい若く見えるかしら」。
「要は気持しだいであって、人生とはすべてこんなもの」
と言っているようで楽しくなる一首である。
(執筆者・池田友幸)
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