どっしりと大地踏みしめ妊婦ゆく ヒマワリの咲く真夏の海岸
掲載号 04年08月14日号
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若住 瑞枝
情景としては、荒いタッチで個性的に描かれた絵、画聖ゴッホのヒマワリの花を思い浮かべるのである。そのヒマワリの花のそばを妊婦が歩いているという情景である。しかも、大股でゆっくりと自信に満ちあふれた歩きぶりである。妊婦自身は普通に何かの用事で歩いているのだろうが、この頃はめったに出会うことの少なくなった妊婦の姿をある種の敬意とまぶしみをこめた視線で見ているのだろう。
あらたに、もう一人の生命を宿しているのだという妊婦の心のありようには、未知への不安と未来への期待がこもごもである。妊娠による体の変化、心の変化は、世の男たちには想像もつかないものかも知れない。
(執筆者・池田友幸)
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