ネムの花煙れるように夜に入り叱咤の声かホトトギス鳴く
掲載号 04年07月31日号
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濱田伊勢子
ネムの花とホトトギスという小鳥を一首の歌に詠みこんであって、そこにいる人の心の有りようが覗いている作である。
赤い花のネムは花がひと群れに集まって咲きぼんやりと煙ったように見えながら夕闇に閉ざされるのである。日が暮れると同時に山からは疳高い声でホトトギスが鳴きはじめる。日頃からの私の怠け心を叱咤するかのように「テッペンカケタカ」と繰り返し鳴いたかも知れない。
(執筆者・池田友幸)
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