草の海さらさら風の吹き渡りいまにも郭公の鳴きそうな朝

掲載号 04年07月17日号

前の記事: “大浜小児童 トラフグ放流
次の記事: “クーラーのタイマー押して眠るなり薄き夏布団に生きるよろこび

地元 静子

 ことば異なるが、草原も草の海も同一なものかと思う。初夏の頃の朝のことである。草原を吹渡っていく風、しかも大きく波打たせながら草の波が移動していく状景である。

 作者は今眼の前の景といつの日にか体験した風景とを心のどこかで重ね合わせており、あの日も澄み透った声で郭公が鳴いていた。野鳥たちをとり巻く自然環境がどのように変ったのか、ここ四、五年は唯の一度も郭公の声を聞かなくなった。一定の間隔をおいて鳴く別名を閑古鳥とも言っているが、昭和の三十年代の初めまでは因島でもときおり鳴いているのを聞いた。

 郭公は夏に日本に渡来して、モズ・ホオジロ・ヨシキリなどの巣に托卵し、これらの親鳥たちに仮親として哺育してもらうのである。まことに身勝手な野鳥ではある。

(執筆者・池田友幸

E

トラックバック