ゆっくりと反対側から無表情の電動シニアカーが道路をハイジャック

掲載号 04年07月10日号

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村上美和子

 この歌にはどこにも人物の登場がなく無表情にも見える電動シニアカーがそろりそろりと出て来て一般車両の入る道をハイジャックしてしまった。ロボットが何かをやっているという変った風景である。

 電動のシニアカーにはエンジンは付いてはいるが、高スピードも出ないし、軽量であるために、走行中でも他の人に傷害を与えることは殆ど無いようである。その為に道路交通法の規制もなく、免許も不用である。だからと言って、一般の車は左、人は右と言うように、また交叉点での信号無視ということも許されないことである。勿論、センターラインの引いていない狭い道の譲りあいも、車の大小も法令に決められてあるなしに関わらず運転者としてのマナーである。

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 この歌を読む限りでは、アラ、アラと言うような困り顔がしたくなるような面白さがある歌の内容である。「あの電動車早く替ってくれないかな」、「私はあの道に入ろうとしているのに」「仕方がない少し待つとしようか」と、あれこれと考えているうちに二、三台の車が後に詰めかけて来る。電動のシニアカーはそれほどに図体の大きい車ではないが、でも昔の荷車の幅くらいはあるだろう。乗用車両とシニアカーの進む方向は対面通行なので、場所によっては朝の交通量の多い時間帯には遠慮して欲しいという声もあるようである。

 電動シニアカーに乗る人は、一般車両に乗る人からは弱者である。体の障害のある人、高齢の人用としてあるのである。まだ、日本全国には電動シニアカーが安全に走れるような道路の整備はまだまだである。

(執筆者・池田友幸

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