平山画伯記者会見(終)イラク戦争と文化財流出に文化財難民保護を呼びかけ

掲載号 04年04月17日号

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 2003年には、イラク戦争を引き金にイラク国立博物館などにあるメソポタミアの文化財が略奪や遺跡の盗掘の被害に遇っている。アフガニスタンのイスラム原理主義政権によるバーミヤン大石仏の爆破事件にいてもたってもいられなくなっている平山郁夫画伯は「今も数多くの遺跡が危険にさらされ一刻の猶予もなりません」と、顔を曇らせる。

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 こうした不安な中東情勢を憂慮していた平山画伯が2001年に組織したのが「流出文化財保護日本委員会」。そして紛争国から逃げてきた難民を国連が保護するように流出文化財も難民と同じように保護する提案をユネスコ(国連教育科学文化機関)で提案、了承された。

 このユネスコへの提唱、了承をもとに日本国内で2年間に100点余りの「文化財難民」が保護された。いってみれば日本は盗品輸入天国であったともいえる。だが皮肉なことに違法流出文化財を受け入れたから古美術愛好者に保護され、破壊紛失されずに人類の遺産を守れたともいえる。

 その中の代表的なものの一つとして「ゼウス神像左足」があげられる。アフガニスタン北西部を流れるアム川左岸に築かれた都市アイ・ハヌム神殿跡からの出土品でアレクサンドロス大王を後継したギリシャ人たちが辺境でギリシャ文化を営んでいた証拠の品であり、カブール博物館の至宝であった。それが内戦が始まると略奪が横行して日本へ流出していた。

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 いま一つは「カーシヤパ兄弟の仏礼拝図」=写真=の浮き彫りである。カピザ地方からの出土品で、このほかハッダ仏の頭部、バーミヤンの壁画断片などが平山郁夫美術館に展示されている。

 この展覧会は4月23日までで、アフガニスタンの文化遺産に直接触れ、そのすばらしさ、人類共通の遺産としての重要性を知る絶好の機会である。テレビ映像で見る武装兵士の戦闘地域とはおよそ想像できない古代メソポタミヤ文明にふれることができ、平山画伯の文化遺産保護の活動をかいまみることができる。そして、平山画伯は「文化を守るには、平和でゆとりある生活を取り戻さなければなりません」と結んだ。

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平山画伯と筆者

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