春の草の花三種
春爛漫のこの頃、野山も春の草花が満開です。今回はその中から、比較的珍しく日本的で美しい名前の野草を三種類紹介しましょう。
ヒトリシズカ(一人静)
3月末から4月にかけて山の北斜面に群れて咲いています。光沢のある葉の間から白い一本の花穂がすっと出ています。その花の姿を、静御前の舞姿にたとえてこの名が付けられました。花には花弁も萼も無く、白い糸のような雄しべだけが目立ちます。
よく似た「フタリシズカ」は花穂が2本ありますが、因島ではまだ見かけません。(見られた方がおられましたら、是非ご連絡下さい。)
ムラサキケマン(紫華鬘)
4月から6月にかけて、野山のやや湿った場所で紅紫色の花を咲かせます。
ケマン(華鬘)とは仏前につるされた金銅製の飾り物のことで、茎の上部にびっしり並んだ花穂をこれに見立てて名付けられています。
果実は長さが約2cmで、触れると突然裂けて真っ黒な種子をはじき飛ばします。
ジュウニヒトエ(十二単)
3月中旬から4月にかけて、やや明るい野山の道端に咲いています。高さが約15cmの多年草で、全体が長くて白い毛に包まれています。淡紫色の唇形花が幾重にも重なって咲く様子を、昔の女官の衣装に見立てて名付けられました。
庭に植えられるよく似た濃い紫色の花の植物は、欧州原産の「ツルジュウニヒトエ」で同じ仲間です。
筆者紹介

- 森林インストラクター
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因島の自然を紹介していきます。紹介するのは、森林インストラクターで尾道市因島重井町在住の駄賀恒男(だがつねお)です。
定年退職して因島に移住し、2001年3月から月1回「いんのしま・まるごと自然観察会」を開催しています。その間因島に住むいろいろな動物・植物・キノコを見てきましたが、その中から季節ごとの、とっておきの生き物情報をお届けします。
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先日は楽しい時をありがとうございました。
「一人静」名前だけは知っていたのですが目の前で見せていただいた時はほんとに感動しました。名前のとうり楚々とした花でしたね。帝釈峡に平安時代を偲ばせる名前の花がこんなにたくさんあるなんて、、、、一輪草 二輪草 十二単 つる鹿の子 山るり草 花テン草 羅生門かずら すずしろ草 紫けまん 山吹草、、宿題の10種の花の名前は思い出しましたが
いつまでおぼえているやら(^_-)-☆ これからも宜しく
Hsako、Y様
お天気にも恵まれ、一緒に県北の春を満喫楽しかったです!
こちらこそ有難うございました。日頃出会う野草の花も可愛いですが、冬の厳しい寒さに耐え、春を待って咲く北の山野草の花は、それぞれ可憐で趣があり私も感動しました。
花の名前もさまざま、一人静のような優雅な名前もあれば、きらんそうのように、花も紫で日本的なのに地獄の釜のふたの別名をもらったりして…
宿題出した覚えはないのですが、たくさん花の名前覚えておられびっくりしました。又一緒に自然散策、楽しみにしています。 駄賀育子