来夏参院選 民主・佐藤公治氏が出馬表明 国民新党・亀井代行が推薦示唆 自公の過半数割れめざし激戦

掲載号 06年09月02日号

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 民主党県連は8月29日、来夏の参院選広島選挙区(改選数2)に同党副代表で前衆議院議員の佐藤公治氏(47)の擁立を決めた。佐藤氏は小沢一郎党代表らが同席した広島市での記者会見で正式に立候補を表明した。

(青木忠)

佐藤公治氏 佐藤氏=写真右=は尾道市向島町出身。父の故佐藤守良元農水相の後を継いで1996年から連続4回、衆院選広島6区に立候補。2000年、2003年には比例区で復活当選した。昨年9月の亀井静香国民新党代表代行と堀江貴文ライブドア元社長の対決のなかで議席を失い、次の衆議院選に向け準備をしていた。

 この日佐藤氏は、目をうるませながら「こだわりは当然あるが、参議院選に勝つために決断した」と決意を語った。また小沢一郎代表は、国民新党の綿貫氏や亀井氏とも折りにふれ連絡していると語り、背後に国民新党との連携があることを示唆した。

 つづいて佐藤氏の地元である尾道市のホテルでは同日夕方、広島6区後援会全体会議が開かれ、約180人の会員などを前に、小沢一郎代表が佐藤氏を激励した。

 佐藤氏は参院選必勝の決意を述べ、小沢代表は「政権交代をめざし、参院での自公の過半数割れをめざす」と、語気を強めた。

 同選挙区内では既に自民党が現職の溝手顕正氏(63)=写真下右=、柏村武昭氏(62)=写真下中=両氏の公認を決定。共産党から藤本聡志氏(51)=写真下左=が出馬する。

溝手顕正 柏村武昭 藤本聡志氏

 他方、国民新党・亀井静香代表代行はその前日の28日、同党結党1周年の記者会見のなかで、佐藤氏が参院選挙出馬の意向を示していることについて、民主党から正式に推薦の要請があれば、国民新党として推薦を前向きに検討すると、述べた。

 さらに、かつて自民党亀井派に所属していた現職の柏村武昭氏について、自民党公認をとった以上、応援するわけにはいかないと語った。

 当初、亀井氏は現職の柏村氏の説得に全力をかたむけた。柏村氏を無所属で擁立し、民主も候補をたてず自民の2議席独占を阻もうと言う筋書きである。しかし柏村氏は同意せず物別れに終わった。

 この事態をにらみながら独自候補擁立を急いだ民主党が勝てる候補として選んだのが、衆院選出馬準備をしていた佐藤公治氏であった。そして水面下で、民主党から亀井静香国民新党代表代行に推薦を要請したと見られる。

 こうして昨年の衆院選につづいて来夏の参院選挙はいっそうの与野党ねじれ現象のなかでたたかわれることになった。

6区に衝撃走る

 8月17日、亀井静香代表代行から地元有力支持者に電話が入った。「また今度もねじれを生んだ。参院選は佐藤で行く。よろしくお願いしたい」という内容である。つい最近まで4回も激戦を重ねてきた佐藤陣営である。当然、6区内に衝撃が走った。

 来夏の参議院選必勝に向けての小沢氏と亀井氏の急接近について、徳川幕府末期の薩長連合樹立に例える見方もある。亀井氏の狙いは小沢氏との連携の強化のもとで、一人でも多く自民党を落選させ過半数割れに追い込み、政界再編のキャスティングボードを国民新党が手中にするというところにある。

 こうした動向について佐藤氏最大の支持勢力である連合広島は、民主党県連の推薦要請をうけて態度を決めるとしている。宮地稔・連合広島会長は本紙の取材に答えて、「連合は民主党を軸とした政権交代を応援しており、それに向かった民主党と国民新党の連携の動きを注目している」と語った。

 来年は選挙が目白押しである。来春の統一地方選の最初は県議選で、66人の新しい定員で戦われる。つづいて首長選と市議選。尾道市は市長と市議のダブル選挙になり、ようやく新尾道市民あげての選挙になる。

 統一地方選挙の結果をうけて参院選挙であるが、参院選の新たな複雑な構造が地方選挙にどのような影響を与えるかも注目される。

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