伝説の碁打ち 本因坊秀策【1】初心者にもわかる名勝負―NHKBS2放送の反響

掲載号 06年05月13日号

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 5月5日「こどもの日」は因島外浦町出身で幕末の天才棋士、後世「碁聖」と仰がれる本因坊家十四代跡目秀策の生誕の日だった。

 NHKBS2教育番組センター(プロデューサー、橋本修平氏)は、漫画雑誌「少年ジャンプ」やアニメなどで大ヒットした「ヒカルの碁」の登場人物「秀策」が全国の少年少女やお母さんたちに強いインパクトを与え一躍知名度が高くなったことから「伝説の碁打ち 本因坊秀策―初心者にもわかる名勝負―」と題して昨年秋から番組制作に取りかかった。

 放送は「こどもの日」の休日に親子そろって見ていただけるような内容を目指して正午から2時間の予定だったが、番組編成の都合で1日遅れの6日(土)になった。

 予告を期待してテレビの前にクギ付けになった視聴者は「夢中になってトイレもがまんして最後まで見ました」「民放のようにコマーシャルタイムがない2時間だったが囲碁文化の勉強になった」「BSが見れないので知人にビデオを借りることにしている」―など関心度もさまざま。

人生ドラマの疑問誤認検証

 この番組は、実在の偉大な天才棋士の一生をたどりその人生ドラマを楽しみながら知らず知らずのうちに囲碁のイロハを覚えられ興味を抱く「体験型ドキュメント番組」として制作された。主人公の本因坊秀策は幕末に活躍した実在の碁打ちで「史上最強の棋士」として崇められている。

 幼名「虎次郎」。5歳のころから母カメに碁を教わり、三原藩主浅野甲斐守忠敬(ただひろ)公の後見もあって9歳の時、碁の家元で幕府の碁所の地位にあった本因坊家へ碁の修行のため独りで江戸にのぼった―と、NHKの説明。

 ここで「独りで・・・」というところに注文をつけたい。これまでの秀策研究資料によると「天保8年11月栄斎(虎次郎改名)は晴れて囲碁修行のため、浅野家の家臣寺西右膳に連れられて江戸に出発した」とある。

 当時、新幹線も飛行機もなく年端も僅かに9歳という少年の独り旅は不自然と思える。この頃、江戸には碁の家元四家があった。本因坊家、井上家、林家、安井家がそれで、この四家のうち幕府の庇護を受け官賜碁所(かんしごどころ)という元詰めの地位を得て天下の囲碁界に君臨していたのが第十二世本因坊丈和だった。その家元に9歳の田舎出の少年が独りで入門を乞う設定は不自然で疑問が残る場面であった。

(この項続く。文責・庚午一生

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